奴隷のしつけ方。現代にも通じるマネジメント術。

『奴隷のしつけ方』という本を読みました。
著者のマルクス・シドニウス・ファルクスという人物は、架空のローマ貴族で、彼が、ローマの他の貴族に対して、「奴隷はこのように使うべきだ。」と記した形式を、ケンブリッジの古典学の専門家ジェリー・トナー氏が採用したものです。

表紙に描かれている人物の、おなじみのタッチは、テルマエロマエのヤマザキマリさんです。

本書によると、一人の奴隷を購入することは、当時、少なくとも、数人家族の生活費一年分は、必要だったといいます。

現代の日本で換算すると、300-400万円相当でしょうか。
決して、小さい買い物ではなく、奴隷を購入することは、見栄で購入する成金を除いて、その分の投資を回収するため、効率的に働いてもらうように、非常に試行錯誤されていたことは、容易に想像出来ます。

現代のように、家庭には家電などもなく、農業では生産性を格段に向上させる農機は存在しなかったので、それらを上手く実行する方法とは、つまり当時、家電などに変わって、道具として扱いを受けていた奴隷にどれだけ働いてもらうかが、最も作用する点だからです。

道具として扱いを受けていたという点は、現代と全く違う点ですが、給与という形でお金を支払い、その投資を回収するよう仕事をしてもらうように、経営者がマネジメントをしなければいけない点は、現代の従業員と変わりません。

このことを指摘して、内容にある奴隷マネジメント術を、「現代のブラック企業のようだ。」と書く、Amazonのレビューでも散見しますが、僕が、最初に連想をしてしまったのは、新興国や途上国での雇用であったり、人件費の低い国での人材雇用です。
(たしかに、日本のブラック企業でも重なる点は、多くあるのでしょうが。)

かつての奴隷制であったり、デリケートな話を決して持ち出すわけではありませんが、僕は新興国で事業を行う日系企業に参画していたりしますし、来年度は、アフリカのルワンダという国で新しい会社も始めます。

そういった新興国であったり途上国での現地人の雇用は、国によって賃金差は異なりますが、月100ドル前後で、人を雇うということは、珍しくありません。

そして、月100ドルの給与で働く彼らに対し、多くの場合、現地人のマネジメントとして駐在している日本人で、日系企業の会社員であれば、その何十倍の給与を一ヶ月あたり貰っています。

途上国や新興国の現地人は、自分の年収以上の金額を、数週間で稼ぐ上司から、マネジメントをされ仕事をするわけです。
しかも、自分が、どれだけ仕事を頑張っても、上司くらいの給与と生活を得れることは、今後も難しいだろうということも分かっています。
実際、たまに例外はあっても、それは現実です。

そういった心境は、さながらローマ時代の奴隷に通じるものもあると感じてしまいます。

よく途上国や新興国地域で、従業員を上手くマネジメント出来ないであったり、従業員から裏切られ、お金を盗まれるという話を聞きますし、僕自身そういった体験談は持っています。
ですが、上述したような彼らの心境を考えると、自分たちから見れば、何十倍もの資産を保有している、外国からの上司から、ちょっとくらいお金を盗んでも良いかなと、出来心が生まれることも理解は出来ます。

目下の者に対しては、あなたが目上の人にこうしてほしいと思うような態度で接すること。奴隷などどうにでもできると思うたびに、自分の主人も自分をどうにでもできるのだと思い出すがいい。

 

癇癪を起こして当たり散らせば、結局損をするのは自分だ。いや、あなた方を責めているのではない。奴隷の管理が難しく、腹が立つことも多いのはわたしもよく知っている。だが、たとえ理想通りにいかなくても、理想を捨ててしまってはいけない。常に理想を掲げていなければ、いつの間にか悪癖に染まって暴君となり、奴隷たちを動物のように扱っていたということになりかねない。  奴隷が生まれながらにして卑しいわけではないように、あなた方も生まれながらにして主人なわけではない。主人という立場だけでは意味がなく、その立場を行動によって示さなければならない。奴隷も同じことで、自分は卑しくないというのなら、それを立派な行いによって示さなければならない。不品行を繰り返すばかりの奴隷は、生まれながらの奴隷といわれても仕方がないし、もともと道徳的に劣っていて、そこから脱することなどできないと思われても仕方がない。

批判あるように、それでも奴隷を使う、現代であれば、従業員を雇うならば、リスクをできるだけ排除し、投資を回収しなければならないという点は、やはり変わりません。

当時のローマ人がどのように、奴隷を有効活用したかという点については、少なからず学びがあるように思います。

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