村上世彰さんの『生涯投資家』を読みました。

村上世彰さんの著書の『生涯投資家』を読みました。

村上 世彰 文藝春秋 2017-06-21
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本の内容は、村上さんがどういった理念で過去に投資を行ってきたかを綴った内容が多くを占める。

株主が、株主の権利を全く行使しなかった日本に、コーポレートガバナンスの考えを持ち込んで、それを信念とした投資人生だったことが分かります。

企業が、内部留保していて、お金を有効利用せず、会社の銀行口座に資金が眠っているだけならば、自社株買いや配当などをして、株主に返すということを提案するのは、株主の権利です。

であるのに、その当然の権利を主張する人が全くいなかったのが、少し前の日本だったことが分かります。

説明不要だとは思いますが、氏のファンドが、多く行ってきた投資手法は、資産が沢山あるのに、株価が、純資産より低く市場で取引されている会社の株を購入することが多い。

これは、つまりその会社が資産を保有していることでマイナスプレミアムがついているというのが、市場の評価です。
その株を買って、株主の権利として、有効活用の方法を提案する、改善されないのであれば、資産を株主に戻してくだしと要求するアクティビストの投資家です。

これは至極真っ当なことで、合理的なことなのですが、氏は、2006年に不可解な理由で逮捕されているし、最近も2015年に、同じくあまり納得できない理由で強制捜査を受けている。

上場企業の経営者に、公開市場に株を上場させることの現実を突きつけ、正論をぶつけたたことは、財界にとって、さぞ不快だったんだろうと読み取れます。

あとがきに、2015年の強制捜査では、当時、村上さんの会社で投資をしていた、氏の長女の、村上絢さんを巻き込んでしまったことのエピソードが綴られている。
このときの強制捜査のストレスで、当時、妊娠していた子どもを流産してしまったという。
このとき、村上綾さんを含む家族から、「自身がなにを目指して投資をしていたのか、世間に伝えてほしい」と訴えられ、執筆のきっかけになったという。

なんというか、非常に、居た堪れないエピソードです。

日本が、健全な資本市場になるための、1石を投じたのは、間違いなく事実ですし、大変尊敬できます。
が、同時に、日本で既得権益に対して、正論を突きつけるコスト、村上さんが払ったコストはどれだけ大きいんだろう、と感じてしまうエピソードも非常に多い。

当時、金の亡者というイメージをメディアがつくりあげ、少なくない国民がそれを信じていたはずですが、今、その人達は、どのようにこの本を読むのだろうとは気になります。

今振り返ると、村上ファンド以外にも、正論を突きつけて、潰していた事例はいくらでもあり、もしも、既得権益が潰してなかったとしてたら、日本は今頃どうなっていたのだろうと、歴史の「IF」も少し考えたくなります。
もちろん、現実に「IF」はないのだけど。

村上 世彰 文藝春秋 2017-06-21
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