パナマ文書の流出から期待されるべき21世紀的進歩

国際調査報道ジャーナリスト連合が公表されるパナマ文書が大変話題になっています。
5月10日には、その全容が公開され、日本人の名前も多く散見されたという。
こちらから、一覧を見ることが出来て、検索も可能です。
https://offshoreleaks.icij.org/

もちろん、これに対して、「金持ちは税金逃れしている!」と叫ぶのは、アホのすることでしかないです。

脱税でなく、合法の範囲での国際資金運用であって、自分の保有する資産から税金の支払いを最小限にしようとするなんて、当然の心理といえます。(そもそも合法・非合法の議論もあまり意味がないのだけれど)

だれにでも馴染みのある例を出すと、たとえば配偶者特別排除というものがあります。
年間の所得が、一定より少なければ、所得税や住民税が免除されるというものです。
主婦の方が、パート先で年間の給与が、103万円を越えないように、99万円くらいで調整し、支払う税金を少なくしようとするのは、よくある話でしょう。
パナマ文書に掲載されている企業に、「脱税だ!」と、文句を言っている人は、これに文句を言っているのと同じことです。
支払う税金を少なくしようとするのは、同じ行為です。

パナマペーパーに名前が上がった企業は、むしろ、合理的な財務判断をしていると評価されるべきとも言えるでしょう。
もちろん、それによって、その分、国家の税収が低くなる訳で、怒っている人たちは、これを「倫理的におかしい!」と言う。
しかし、”倫理的”なんて薄っぺらいもので、意見が、まかり通るなら、立法なんてものは必要なくなります。
倫理とは、人によって異なるし、時代によっても移り変わる普遍なものではないからです。
むしろ、僕の倫理観をあえて書くならば、努力して、かつリスクをとって、お金持ちになった人の税金をあてにして、フリーライドしようとする方が、おかしい。

だから、金持ちや大企業は脱税している!、と叫ぶだけなら、このパナマ文書には、全くニュースバリューはないと思いますし、社会が進歩することもないでしょう。
とはいえ、パナマ文書は、いくつかのことを明らかにしました。(今に始まったことではないのだが)

まず、世界が、フラットになったグローバル化した社会では、「どこの国で稼いだお金なのか」「どこの国で支出したお金なのか」が既に曖昧である。その中で、合法的、かつ合理的な財務処理をすることが、馬鹿な人たちから、脱税だと罵られる。
そのうえで、租税会費・資本逃避・脱税の違いすら認識されていません。これに関しては、以下の資料を添付しておきます。
国際課税のあり方と今後の課題について
国際課税に関しては、全世界共通の税金システムがあれば、解決する可能性は、あります。
ですが、タックスヘイブンを戦略にして、国家を存続している国もいて、方や、増税したい国もいるという状態で、しかもビジネスも簡単に国境を飛び越える時代で、そういったレギュレーションの策定は、不可能です。一切の現実味がない無駄な議論だと断言できます。
つまり、所謂タックスヘイブンという国は、今後もなくなることは絶対にないということです。

次に、キャメロン英首相のように、タックスヘイブンを徹底的に問題視していた人物でさえ、自分の財産の運用に利用していたことが明らかになりました。
こういった今回の流出のように、万が一ばれる事態を考慮すると、政治家としては、オフショアを利用するのは、かなりリスキーな行為だ。それにも関わらずオフショアを利用していたということは、「無駄な税金は払いたくない」という人間の心理は、普遍なものだと証明されたわけです。

つまり、現状の税金システム、多くの国で採用されている累進課税システムは、うまく機能していないし、それは今後も機能しそうにないということです。
しかし、そもそも、国家はこれ徴税権を維持する必要があるのでしょうか?

前世紀ならともかく、現代の成熟社会では、基本インフラはある程度、揃っている国で、国家は今までの形を維持する必要は必ずしもないはずです。
インフラ以外でも、医療費を削減する方法は、いくらでも期待されています。

いわば、結局のところ、この問題は、小さな政府・大きな政府という議論に収束されます。
大きい政府の大前提となる税収システムや、累進課税という概念に明らかな欠陥がある以上、僕は、一刻もはやく、国家は、ダウンサイジングされるべきだと思います。
企業によるベーシックインカム的なもので、教育も通信も全てが無料になる時代は、そこまで来ている。
現在、だれもが、googeのサービスを無料で享受しているように、企業は、マーケンティングの一貫で、一部のサービスを無料で提供して、多くの人がその恩恵を得る筈です。

国家の税収が今より落ちても、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という日本国憲法は、維持できる可能性は、十分にあるでしょう。
とはいえ、もちろん、今でも、これはすでに方便であり、決して、この政府による担保をあてにするべきではない。
ふわふわした倫理観を持ち出すより、既存の税収システムの欠陥を直視して、もっと建設的な議論が行われて然るべきなのに、人の感情は常にそれを阻害します。

パナマペーパーに関して、批判するだけならば、それは、何のニュースバリューもないし、パナマ文書に載っている企業・個人に断罪を求めることは、確実に社会の進歩を妨げるでしょう。
パナマペーパーが、くだらないゴシップで終わるより、国家と、国家の徴税権を考え直し、21世紀的な発展の議論を促すきっかけになることを、期待します。

ついでに、タックスヘイブンについて、内情をほとんど理解されず、言葉を使われているふしもありますので、そういった方は、下記の書籍の一読をお勧めします。

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