[書評]コロンビアで37年間もの間、日本食店を経営するオーナーの本が、途上国あるある満載で面白かった

とてもコンパクトですが、良い本でした。

コンロンビアで「侍や」という日本食レストランを、37年!経営されている日本人による、Kindle本です。

122円で、読了に1時間もかからない本で、値段も内容もリーズナブル。

コロンビアといえば、今では、経済成長が注目される新興国ですが、40年近く前となると紛れもなく、新興国ではない”途上国”に分類され、そこで、これだけの期間、日本食レストランを経営してたのだから、多くの苦労やトラブルが、あったことは想像に難くありません。

今では、コロンビアも多くの日本人がいるそうですが、その中でも、最も古参のひとりでしょう。

そんな日本食店「侍や」の経営半生です。

どんなお店か、オーナーである著者が、どんな人物かは、以下の文章に如実に表れてると感じ取れます。

「 海外で日本食レストランを経営したいと思っている人から、「なぜ三七年も続いているのか」と聞かれることがある。  うちの店は、実はこれといった特徴がない。特徴がないのが特徴みたいなところがある。だから、フランスの「ミシュラン」が発行しているグルメガイドに掲載されることはまずないし、せいぜい、二〇一一年八月二六日にテレビ東京で放映された「世界の秘境で大発見! 日本食堂2」に取り上げてもらったように、日本人にはあまり縁のない国で日本食レストランを続けている面白いオヤジとして紹介される程度である。  それなのになぜ三七年も続いているかといえば、やっぱり個人経営だからだと思う。  みんな、いい店を作ろうとするから続かない。  人間でいえば、表面を取り繕って、外っツラだけを見せても、いつかはボロがでるでしょ。本音で勝負して、俺は個人経営の「飯や」のオヤジだというところを見せればいいんだよ。ただの「飯や」のオヤジ。そういうスタイルで俺は勝負しているんだ。」

途上国での業務を経験した人かすると、「あるある」と頷くような、エピソードも多く楽しめました。

そうなんです。リクルーティングは、紹介が、一番なんですよね。

「日本であれば、従業員を雇う際には、求人情報誌に募集広告を載せたり、店内に従業員募集のチラシを貼っておくのが一般的だろう。  コロンビアだと、これはあまりやらない。国にもよるけど、一見で雇い入れると、盗癖のある奴がいて、そういう目的で来てしまう奴らがいるんだよ。実際、うちの店では女房の指輪を盗まれたり、金を盗まれたこともあった。もちろん、コロンビア人全員がそういう奴らというわけじゃないけど、こういう国で一見の従業員が来ると非常にリスクが高いんだよ。」

同じ日本人に対する苦言も、多く書かれてます。

でも、それは、愚痴みたいな口調ではなく、著者が多くの日本人に、自覚してほしいというような優しさが感じられる文筆ですね。

「海外の日本食レストランには、日本のマスコミ各社が、しばしばし出入りする。  コロンビアは麻薬とゲリラで名を馳せた時期があったから、そのことに関心のあるジャーナリストたちが日本からよくやってきた。うちの店を溜まり場に使ったり、情報収集の場としても利用した。  ところが、大手メディアの中には、名刺一枚を出して、注文もせずに居座る奴らがいるんだ。中には俺の目の前にいきなりテープレコーダーを出して、「マスター、何でもいいからコロンビアについてコメントをくれよ」なんて言う人もいてね。注文でもすればまだしも、お茶一杯でそんなことをされちゃ商売上がったりだから、俺は追い返すんだよ。  そうするとね、「そんなこと言うなら、滞在期間中はこの店を使わないよ」なんて言い出す奴もいてね。そのうえ、俺が取材やコーディネートに絡んだ案件にも関わらず、取材記事が掲載された雑誌やドキュメンタリー番組のビデオを送って来ないんだ。「帰国したら絶対に送りますよ」と言ってたにも関わらずね。  とはいえ、新聞社や通信社の南米特派員の人たちは違ったね。彼らは南米に滞在しているわけだから、情報収集や人脈作りの場として日本食レストランを重宝してくれるんだ。そういう人たちには俺も出し惜しみなく人を紹介したりしているよ。」

コロンビアに限らずですが、日本人在住者が、1000人以下の国では、日本人コミュニティが強固です。

言い換えれば、村社会なので、良い噂も悪い噂も、すぐ伝わるんですよね。

営業の上での、ちょっとしたチップスもいくつか。

「看板は出していない。入口の鉄扉のすぐ上に、「Samurai Ya」とデザインされたネオン管を溶接でくっつけてあるんだ。ネオンは桃色に光るから、日本人の旅行者の中には「キャバクラかスナックみたいですね」という人もいた。中には「最初は何の店か分からなかった」という人もいたけど、それこそ俺の戦略だったんだ。  店の前を通った人に、「ここは何の店だろう?」と思わせる演出が必要だと思ったんだ。高級店でもなく、外装にもそれほど金をかけることができない。そうすると、通りかかった人に「おやっ」と思わせる何かが必要になる。」

「営業の上で具体的な話としては、三日分の売り上げが、一ヶ月分の家賃に相当してくのを俺は目安にしている。月単位で言うと、一ヶ月分の売り上げの一〇%から一二%が家賃というイメージ。これが達成できなくなってきたときは、「そろそろ別の手を打たなくちゃいけないな」と自分に言い聞かせている。」

僕自身、結構、多くの途上国に足を運んでいて、日本では あまり知られていないけど、アフリカなどでの途上国で、実は、20年とか、とても長い期間、こういった飲食店を経営している人を多く知っています。

この人も本の中で、言及している通り、その歴史の中で、ほとんどの同業者が消えていいっているはずなんですけど、僕の知る限り、続いている人は、商売を大事にしていると同時に、同じくらい日本人コミュニティに寄与していますね。

「ニューヨークやロスだとライバルが多すぎる。一番になるのは難しい。だったらライバルの少ないコロンビアで店を開けて一番になってやろう――そして実際に俺は、創業三七年の今日、コロンビアの日本食レストランとしては最長年数を記録して一番になった。  三七年の間には、二〇店舗ほどの日本人経営による日本食レストランが産声を上げて行ったけど、九割方が潰れて行った。」

著書では、日本人観光客の多くのトラブルを対応してきたというようなエピソードも綴られており、自身で、日本食レストランは、日本人にとっての駆け込み寺・夜の大使館であると例えています。

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(店舗外観は、こんな感じのようです。)

書籍の値段設定も、大変求めやすくなっていて、ちょっとした小銭稼ぎや、お店の宣伝ではなく、これから海外でなにかしらチャレンジしたい人に向けて書いたものだと、伝わってくるものがありました。

コロンビアに足を運ぶ際は、ぜひ訪れたいお店であり、書籍もおすすめです。

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