アフリカが、20年後に、経済成長をするということに対する、よくある誤解

度々、経済メディアで、「2030~2040年以降は、アフリカの時代だ。」という風説が語られます。

下記の記事では、南アフリカを例にあげて、アフリカの将来性を論じられています。

南アで実感したアフリカ経済のポテンシャル

“いわゆるサブ・サハラ(サハラ砂漠以南)の国々の中では、これまでケニアにしか行ったことがなかった。今回は、南アフリカの一部を垣間見たのだけれど、経済の活気も想像以上。さらにこの経済の元気さは、南アフリカだけではなく、どうやらアフリカの大部分の国で見られるようだ。
「21世紀後半は、アフリカの時代」。人口構成や経済成長余地から、こう言われてきたことは知っていた。一例を挙げれば、2040年には、若年人口の多いアフリカの労働人口は中国やインドを上回る、というのはよく知られた話だ。”

 

今回は、こういった事項に対する否定的な意見を書いてきます。

ついでに、この記事に対し、指摘をするならば、南アフリカを例にあげて、アフリカ大陸の経済の見通しを示すことは、検討違いです。
南アフリカは、アフリカ大陸に位置をしていても、途上国に分類されもしない、すでに経済成長を果たした国です。
そして、成長率は、年1.5パーセント(2015年)を割っています。

その点は、ひとまず置いておいて、タイトルにした通り、アフリカの将来の成長に対する、よくある誤解を見ていきます。

まず、今後10年は、アジアが最も経済成長をする地域であると同時に、2025年前後に、アジアの成長が一段落するということは、コンセンサスです。
その後に、資本は、行き場を求め、消去法で、最後のフロンティアとされるアフリカへ向かう、これが、「アフリカは、大成長をする」と主張する人のロジックです。
ある程度は、間違いないとした上で、よく勘違いされる点は、アフリカが、アジア的な発展をすると考えられているという点です。

アフリカは、今後も、製造拠点にはならず、世界の工場にはならない

残念ながらアジア的な発展をすることは無いでしょう。
ここで示すアジア的成長とは、アジア地域が、製造業の拠点として、活用され、世界の工場となった点です。
中国は言わずもがな、ベトナムや、タイなども、中国の人件費が高騰した結果、多くの工場が移転し、産業が流れてきました。

アフリカが、世界の工場になることは、まず間違いなく起こりえないでしょう。
簡潔に理由を、2つあげます。
まず、アフリカの人件費と物流についてです。
例えば、東アフリカ・タンザニアなどの国であると、大卒の平均給与は、ざっくり500ドルくらいでしょう。
また、それに対する職業の習熟度は、高くありません。
そして、物流に関しては、例に挙げたタンザニアは、海に面していますが、アフリカの国は、内陸に位置する国も多いです。
決して安くない人件費と、マネジメントコストをかけて、製品を作っても、それを世界のマーケットに持っていくのに、大変なコストがかかるということです。

新興国の低コストの人材も、機械との価格競争は避けられない

アフリカが製造業で発展しない理由に2つ目は、テクノロジーによって、生産回帰が、起こる可能性が高いという点です。
これは、アディダスを例に挙げると、分かりやすいでしょう。
同社は、多くのアパレル工場と同じように、1980年代以降、安価な労働力を求めて、アジアに生産拠点を移転しました。
しかし、アディダスは、2017年から、ドイツのロボット工場で製造した靴を、これから3~5年で100万足を出荷する見込みであることを発表しました。
これは、新興国からの生産の回帰であり、自動化された工場が、現実的になると、コストパフォーマンスの点で、新興国で作るより、ロボットが作ったほうが、優れていると、少なくともアディダスは、判断をしたということです。

こういったパラダイムシフトは、今後、更に、テクノロジーの進化によって、如実になるでしょう。
残念ながら、アフリカの若者が、2030年や、2040年に、洋服の縫製や、車の製造に注力する可能性は、少ないでしょう。
せいぜい、アフリカで製造するメリットは、アフリカで地消するための製品ではないでしょうか。
もしくは、組み立て工場です。
そして、それらの仕事も、3Dプリンターなどによって、限られたものになります。
エチオピアなど一部の国では、製造業の投資もさかんに行われていますが、上記のことを考えると、アジア的な発展は、アフリカで起こる可能性は、非常に低いです。
アフリカの雇用という点に関しては、不都合な真実ですが、今後、製造業に限らず、テクノロジーとの競争によって、雇用が行き渡ることはないでしょう。

いくら新興国の人材コストが安かったとしても、機械のコストは、それが、コモディティになればなるほど、下がり続けます。
アフリカの人材も、機械との競争は、今後避けられません。

 

ですが、冒頭であげたように、アフリカに、資本が流れてくるタイミングがやってくるのは、間違いありません。

ここまで、アジア的な発展はないだろう、と予想をしたうえで、そのとき、アフリカがどういった発展をするかは、分かりません。
しかし、そのときは、21世紀的な何かしらの新しい形での経済成長をするはずです。
その時を楽しみに、これからも、アフリカに片足をつけていこうと思います。

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