コアなビットコインメディアを除く、日本語の記事で、EthereumのリーダシップをとるVitarik Buterinについて、あまり注目されていないので、触れてみようと思います。
単純に、プラットフォームの燃料として使われるETH(イーサー)の時価総額で考えても、1500億円を超えていて、Ethereumというプロジェクトを、Microsoft・IBMなど多くの企業が、注目しています。
そのプロジェクトを、19歳のVitarik Buterinが、共同提案者として、たちあげ、今に至るまで、リードしているのは、注目されるべきことだと思います。
Ethereumが将来的に成功を収めるかどうかの疑問は、つきませんが、19歳の少年がこれだけ大きなプロジェクトを牽引していることは、ニュースバリューもあるはずなのに、一般メディアが、まるで論じないのは、暗号通貨(仮想通貨)への関心度と、理解度を程度を表しているように、思います。
本記事では、そのEthereum共同開発者のVitarikの略歴をまとめてみます。
■そもそもEthereumとは?
その前に、まず、Ethereumについて、基本的な概要を。
Ethereum(イーサリアム・エセリウム)とは何かとという問いに対して、一言で答えるとき、人によって様々ですが、スマートコントラクトのプラットフォームと表現されることが多いです。
イーサリアム自身は、スマートコントラクトのプラットフォームというより、「ワールドコンピュータ」と主張していて、分散型アプリケーションを動かすオープンソースのプラットフォームとしています。
分散化したブロックチェーンで動く、絶対にとまることのなく、チューリング完全な言語を記述できて、あらゆる側面から検閲ができる、ワールドコンピュータということです。
このワールドコンピュータ上で、スマートコントラクトや、価値記録、第三者が存在しないP2Pによるアプリケーションの構築様々なものが出来るというのが、イーサリアムです。
とても簡単に、まとめると、イーサリアムは、P2Pであらゆることが出来て、攻撃もされず、コードを信頼することによって、多くの分野で、より良いシステムを作るとしているわけです。
例えば、投票システムでは、どこかしらの組織が作った独自のシステムを利用する必要があり、正しい投票が行われたかの検証は、結局、その投票システムと、それを作った人を信用しなくてはなりません。
ですが、イーサリアム上で作られたアプリケーションは、P2Pで動き、あらゆる側面から検閲が出来るので、そのように特定の第三者を信用しないで、動くということです。
そのセキュリティ上の安全性、稼働の実証は、依然、多くの開発者によって、検証されている最中ですが、これが動けば、あらゆるシステムが第三者による信用に依存せず、稼働することも期待でき、社会的にとてもインパクトのあるプラットフォームです。
■若干19歳で、テクノロジードリブンで、金融・社会システムの世界を変革しようとしたVitalik Buterin
さて、そんなEthereumのプロジェクトを考案する Vitalik Buterinは、2016年現在、若干22歳です。
1994年1月31日ロシアのモスクワ生まれで、カナダのトロント育ち。
カナダで、小学校に在学中、数学などで優秀な成績を発揮し、ギフテッドクラス(一般課程と異なる優秀な子供への教育システム)へ。
そこで、プログラミングに興味を持ち、その後、経済に対しても関心を抱いたらしい。
小学校時点で、プログラミングに夢中になるというストーリーはとくありますが、その時点で、経済にまで関心を抱く子供は多くありません。
この辺が、イーサリアムを思いつくルーツだったのかもしれません。
カナダの名門Waterloo大学に、在学に在学中、2011年にビットコインに興味を持ち、大学を1年目で中退。カナダの名門トロント在学に在学中、2011年にビットコインに興味を持ち、大学を1年目で中退。
その年に、ビットコインにのめりこんで、ビットコイン系のメディアを立ち上げ、その二年後に、イーサリアムのプロジェクトを考案し、ファンドレイズします。
提案書としてのホワイトペーパーも彼が中心となって、作成したそうです。
こちらは、イーサリアムを当時の、Vitalikによるプレゼンです。
2014年に、このプロジェクトのファンドレイズをするとき、多くの人の反応はかなり懐疑的でした。
僕も、その一人で、注目はしたものの実際に、ICOに参加した額としては、ごくわずかです。
その二年後、ETHの価格は、約30倍、その未来を多くの人が見守り、プラットフォームの上で多くのアプリケーションが開発されています。
Vitakikは、ビットコインについて、「ビットコインは、確かにすごいものだし、将来失敗するなどとも思っていないけど、世界のあらゆるものを、分散化するプロジェクトではない。イーサリアムは、全てを分散化する。ビットコインは、魚のようなものだけど、イーサリアムは海だ。」と表現しています。
2016年、上半期、多く行われたICO(暗号通貨建ての資金調達)では、Vitalik と少しでもつながりのある開発者だと、知られると、注目度が桁違いにあがり、資金調達額も跳ね上がったことは、記憶に新しいです。
イーサリアムが注目と、将来の期待を集めている要因の1つとして、このVitalikのカリスマ性は、大きく寄与していると思います。
スポークスマンとして、とてもプレゼンがうまいのです。
下記の動画は、シドニーの暗号通貨カンファレンスで、イーサリアムについてプレゼンされているものです。
イーサリアムの現状について説明しながらも、時折冗談を織り交ぜて、会場を笑わせています。
ですが、Ethereumは、将来的な完全な分散化を目指しているわけですが、このVitalikの強力なリーダーシップによって、そのハードルを更に高くしている気もします。
それでなくとも、イーサリアムのスケールは、難しい物になると各所で言われていますが、個人的にも資金の集まり方は過剰にも感じます。
ですが、Ethereumが、ワールドコンピュータして、機能し、本当に分散化アプリケーションが、日常で多くの人に使われる未来がやってくる可能性も勿論ありますし、それを牽引するのが、若干22歳の青年ということは注目すべきことだと思います。
Ethereumの将来はともかく、若干22歳の人間が、テクノロジードリブンで、金融・社会システムの未来に多大な影響を与えていることは間違いありません。
暗号通貨とブロックチェーンは、インターネット以来の大きいイノベーションであり、私たちの世代にとって最も大きいインパクトを与えパラダイムシフトを起こすと考えています。
d10n Lab(ディーテンエヌラボ)は、未来を思考する離合集散的なリサーチコミュニティです。
暗号通貨のこと全般・投資リテラシー・移住など多様なトピックを扱うほか、嗜好が近いメンバーとも出会える場を目指しています。読みたいレポートをリクエストしたり、リサーチャーがマネタイズできるリサーチプログラムもあります。