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寄稿レポート:北京市ブロックチェーン産業概観

d10nLabでは、こじらせ女子(https://twitter.com/icotaku_utgirl )さんによる中国主要都市のブロックチェーン政策シリーズ第二弾として、首都・北京市のブロックチェーン産業レポートを配信しました。

第一弾の浙江省・杭州市のレポートも併せてご覧ください。

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1. イントロ

北京には早期から、中国三大取引所の一角を占めるHuobi・OKCoinや、世界最大のマイニング事業者であるBITMAINが拠点を置き、仮想通貨市場の盛り上がりとともに繁栄を極めました。しかし、2017年9月のICO禁止・取引所閉鎖指令により二大取引所が海外に移転してからは、政府が積極的な産業振興策を打ち出している杭州とは対照的に、政府が仮想通貨関連イベントの開催を禁止、またICOに代わり流行し始めたSTOは違法であるとの見解を出すなど、厳しい規制が敷かれています。しかし実際には取引所やマイニング以外にも、商用BaaS(Blockchain-as-a-Serrvice)の開発を行う企業やブロックチェーンファンドといった業態も存在しており、清華大学・北京大学など国内のトップスクールを中心に、官学連携での研究開発も非常に盛んです。また、区単位では政府主導のブロックチェーン特化型ファンドを組成する計画も持ち上がっています。

本稿では、杭州のレポートと同様、北京のブロックチェーン産業を産官学(企業・政策・教育/研究機関)の三つの側面から紐解き、杭州との比較も交えながらその産業エコシステムの特徴を解説します。

2. 北京市の概要

2-1. 北京市の概要

北京は中国の首都であり、政治・歴史・文化の中心です。国内四ヶ所の「直轄市」のうちの一つとして省と同格の行政区画として扱われ、面積は16,810平方キロメートルと、日本の岩手県とほぼ同じ大きさです。人口は2171万人と中国でも重慶・上海に次いで多く、世界でも有数の大都市です。

北京と言えば毛沢東の肖像画が掲げられた天安門に六四事件の舞台となった天安門広場など、政治都市の印象を抱く方が多いかもしれませんが、中国、そして世界有数の経済・金融の中枢でもあります。2016年の市のGDPは2兆5669億元(≒40兆円)で、中国では上海に次ぐ規模です。また、イギリスのシンクタンク “GaWC” が発表した、金融・会計・法律・広告・経営コンサルタントなどのビジネス分野の発展度合いに基づく世界都市格付けにおいて、北京は香港・上海・シンガポール・シドニー・パリ・ドバイ・東京と共に、ニューヨーク・ロンドンに次ぐ格付けを獲得しています。2014年以降は、フォーチュン・グローバル500に数えられる企業の本社が世界で最も集中している都市となり、実際に国家電網・中国石油化工などのエネルギー大手、中国工商銀行・中国銀行などの金融大手など、特に国営企業の本社が多く存在します。大企業だけでなくスタートアップも盛んで、特に市北西部、北京大学・清華大学に隣接する中関村エリアには政府の誘致政策によりITスタートアップが集結し、JD.com・Baidu・DiDi Chuxingなど、中国を代表する数々のIT企業が北京から誕生しています。

2-2. ブロックチェーン都市としての北京

それではブロックチェーン都市としての北京を示す統計をいくつか見ていきます。

中国全土の省および直轄市のブロックチェーンスタートアップ数では、全体の41%に当たる315社が北京に集結し、圧倒的な首位に立っています。

また、2018年8月末までの特許申請数を都市ごとに見ると、こちらでも深センや上海といった都市を抑えて圧倒的な首位に立っています。杭州発の企業も特許取得に注力しているのは前回レポートで触れた通りですが、そもそも企業数が多いこと、またAlibabaに次いで特許申請数が多い中国人民銀行(中国の中央銀行)による申請も北京のものとしてカウントされていることから、都市ごとの申請数で北京が首位に立っていると考えられます。企業別特許申請数をグローバルで見ても、2017年度では12位(RChain、瑞链科技)、14位(Bubi、布比北京网络)、18位(Sinochain、中链科技)、そして21位(BITMAIN、比特大陆)に北京の企業がランクインしています。

北京には教育/研究機関と民間企業の主導ででブロックチェーン研究所も多く設立されています。中国全土のブロックチェーン研究所のうち、42%に当たる26箇所が北京に集中しています。

3. ブロックチェーン産業をとりまく産官学の分析

3-1. 企業

ここでは北京発のブロックチェーン企業をざっくり、

業界黎明期の2013年頃に設立され仮想通貨ブームに乗って急成長を遂げた取引所・マイニング
2014〜2016年に設立され安定した成長を続けているBaaS
2015年以降に設立、またはブロックチェーン領域に参入し、ICO投資の流行とともに急拡大したファンド

の三種類に分けて紹介していきます。
また、業界黎明期からビットコイン愛好家やブロックチェーン起業家が集まっていたGarage Cafe(车库咖啡)、民間企業が主導するブロックチェーンファンドについても触れていきます。

3-1-1. 取引所・マイニング

取引所とマイニング事業者はいずれも、早期に成立し中国国内での仮想通貨ブームに乗って急成長を遂げた業態です。中でもHuobi・OKCoin(取引所)、BITMAIN(マイニング)は北京発のプレイヤーであり、黎明期の北京のブロックチェーン産業に繁栄をもたらしました。

2016〜2017年、中国が世界のBitcoin取引の9割程度を占めるほどの仮想通貨大国だった頃、中国三大取引所と呼ばれたOKCoin、BTCChina、Huobiのうち、OKCoinとHuobiは北京に拠点を置いていました。しかし、いずれも2017年9月に出された取引所・ICO禁止令を受けて国外に拠点を移し、現在人民元ペアのOTC取引サービスのみ大陸ユーザーに提供しています。ただし、両者ともオフィスはいまだに北京に存在し、研究開発やシンクタンクの機能は北京に残しているようです。

BITMAINは世界最大手のマイニングチップメーカーとして、仮想通貨の高騰に乗って利益を増やし、2018年には香港証券取引所への上場申請も行いました。その評価額は一時最高で150億ドル(約1650億円)に達するとも言われましたが、市場の低迷により収益が悪化し上場が危うくなったばかりか、人員削減やCEOの退陣などのスキャンダルも報告されています。

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1. イントロ
2. 北京市の概要
2-1. 北京市の概要
2-2. ブロックチェーン都市としての北京
3. ブロックチェーン産業をとりまく産官学の分析
3-1. 企業
3-1-1. 取引所・マイニング
3-1-2. エンタープライズ向けBaaS
3-1-3. ファンド
3-1-4. 業界の有名人がこぞって通った中関村のGarage Cafe
3-1-5. 民間主導のブロックチェーンファンド
3-2. 政策
3-3. 教育/研究機関
3-3-1. 北京市内の主なブロックチェーン研究所
3.3.2 清華大学のブロックチェーン研究室とその取り組み
4. 総括:北京市ブロックチェーン産業の特徴

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