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増加する暗号通貨の先物商品と大手証券ブローカーの参入。これから1-3年後の暗号通貨市場の構造変化を予想する。

d10n Labでは、レポート「増加する暗号通貨の先物商品と大手証券ブローカーの参入。これから1-3年後の暗号通貨市場の構造変化を予想する。」を配信しました。

前提

本レポートでは、増加する暗号通貨のデリバティブ商品と大手証券ブローカーの参入という2つのテーマで、中期にマーケットに影響を及ぼす重要なニュースを概観し、後半でそれらの影響から市場構造がどのように変化するか筆者の予想を述べます。

これらの先物商品の増加や証券ブローカーの参入は、現在の「暗号通貨取引所」を各ベンチャー企業が運営する現在の構造を変えることになることは金融の業界者であれば、想像に難しくないはずです。
2019年前半時点で最も影響力のある取引所は、Binanceとcoinbaseの2社ですが、この構造も少なからず変わるでしょう。
2社についての2019Q1時点でのレポートは下記で配信しています。

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本レポートの閲覧者は金融に決して強い関心がない人もいるであろうことからその前提で執筆をします。
また、暗号通貨という新しいアセットクラスの特殊性からも、既存の暗号通貨取引所の顧客が証券ブローカーに全て置き換わるとも筆者は考えていません。

後半の予想部分については、筆者の私見も大いに混ざっていることを留意しておきます。

アメリカの大手証券ブローカー各社の暗号通貨取引参入とその影響

アメリカの証券ブローカー各社が、暗号通貨の取引を間もなく開始をするという報道が続いています。

1100万人の顧客を持つ証券ブローカーであるTDAmeritradeは、間もなく暗号通貨取引を開始することを、関係者がThe Blockで報じました。
参照:https://www.theblockcrypto.com/2019/04/24/erisx-is-testing-its-new-crypto-exchange-and-tdameritrade-is-one-firm-looking-to-link-up-with-the-market/

同報道によると、TDAmeritradeは、ErisXをマーケットの取次先にする予定です。
ErisXは、TDAmeritrade、 DRW、Virtu Financial、Susquehanna International Groupなど大手金融事業者が投資をする新興取引所です。

現物の暗号通貨の取引と、現物の裏付けがある暗号通貨先物取引を扱います。

同じく証券ブローカー大手のE*Tradeも暗号通貨の取引開始の準備をしていると、Bloombergが報じました。
参照:https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-04-26/e-trade-is-said-to-be-close-to-launching-cryptocurrency-trading

E*Tradeは、アメリカの個人投資家400万人を顧客に持ちます。
関係者によると、ローンチ時点では、BTCとETHをサポートすると発表しています。
同証券ブローカーは、2018年にはCMEの先物の取次を開始しています。

暗号通貨がはじめての金融商品取引であるという人にとっては、証券ブローカーという言葉が馴染みはないかもしれません。
証券ブローカーとは、証券会社のブローカー業務を担う事業者を指します。
例えば、日本国内でいえば、個人投資家は、楽天証券やSBI証券で口座を開き株式の売買ができますが、このとき楽天証券やSBI証券はブローカー業務をしていることになります。

ブローカー業務とは株を「買いたい」または「売りたい」という注文を多くの人から受け、それを東京証券取引所をはじめとした証券取引所に伝えることです。
つまり、売買板・マーケットは楽天証券などが運営しているわけではなく、あくまで東京証券取引所に取次をする役目をしています。

これは現在の暗号通貨業界の取引所の構造と大きく異なります。
現在、暗号通貨取引所各社は、それぞれがBTCやETHなどを通貨ごと、各取引所ごとのマーケットを運営しています。
BinanceであればBinanceのマーケット、CoinbaseであればCoinbaseのマーケット、日本のBitbankであればBitbankのマーケットをそれぞれ運営しているという具合で、これは極めて非効率なマーケット構造であり、暗号通貨業界が未成熟ゆえのマーケット構造であると言えます。
各社がマーケットを持つことの非効率性は、マーケットの分散による出来高の分散により大口トレーダーの取引コストが上がっていることや、各社の取引価格で乖離が発生することなどが挙げられます。
現在、その非効率な各取引間のアービトラージに関しては、個人トレーダーが担ってる状況です。

証券ブローカーのTDAmeritradeは参入する際には、ErisXを取次先とするように、証券で行っているようなブローカー業務を行う予定で、各証券ブローカーが独自でマーケット運営するようなことは想定していないでしょう。
結果、いくつかの市場を接続先、カバー先にして、少数の流動性が高いマーケットが時間をかけて作られるはずです。

こういった市場構造の変化は、顕在化には少し時間がかかるかもしれませんが、これから起こる重要なポイントであると言えるでしょう。
TDAmeritradeやE*Tradeは証券ブローカーとして数百万人以上の顧客を抱えています。
その全てが暗号通貨を売買したいユーザーではありませんが、そういったブローカーが取り次ぐマーケットは早晩に流動性を獲得し、1社単体でマーケットを作る形式の現在の取引所の流動性を上回る可能性があります。

d10n Labで配信したレポート全文では、このようなDApps周りの様々なツールや取り組みを概観しています。

目次
*前提
*大手証券ブローカーの参入
*増加する暗号通貨のデリバティブ
*暗号通貨建てのデリバティブにどのような需要があるか
*1-3年後に起こる暗号通貨市場構造の変化の予想
*総論

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