暗号通貨マーケット

業界の各プレイヤーが見据える少し先の暗号通貨の世界。 取引所は何故DEXに取り組むか、ウォレットプロバイダの将来像etc

本レポートは、暗号通貨・ブロックチェーン業界で、ぞれぞれのプレイヤーが今後どのようなポジションを狙っているかや、各プレイヤーが注目している領域などを、それぞれの発言や投資ディールなどから整理をし、それらの考察を進めていきます。

暗号通貨ファンド、取引所、などを取り上げ、それぞれこの業界で活動をするプレイやーが、今後どのような展開をしていくつもりか予想をし、未来考察をすることが主旨です。

はじめにシンガポールのアセットマネジメント会社のAstronaut Capital社の予想を取り上げ、解説します。
最初にアセットマネジメント会社の予想を取り上げるのは、特定のビジネスプレイヤーより、おそらくマーケットを俯瞰できているプレイヤーである筈であるからであるのと、彼らがちょうど面白いポストをしていました。

Astronaut Capital社は、5月25日に下記のようなポストをしています。
2018年の暗号通貨業界の未来予想という記事です。
こちらを参照しながら、解説をしながら意見を加えていこうと思います。

Crypto Market Recap, Forecasts and Outrageous Predictions for 2018

Astronaut Capital社によるICO市場概観

ICOはバブルを超えたように見えましたが、これまでの研究所サロンのレポートでも指摘をしたようにプライベートセール下で全体の調達金額は去年以上のものになっています。

現状、ほとんどのプロジェクトはトークンセールをパブリックで行うことはなくなりました。

一方、パブリックでセールをできないことから、トークンのディストリビューションをどうするかの問題が発生します。

そのためエアドロップを用いるプロジェクトも増えています。
最近では、Definityというプロジェクトが大規模なエアドロップをKYCも非常に厳格に管理をして実施しました。
ですが、Astronaut Capital社は、エアドロップが有効なソリューションかは懐疑的な姿勢を示しています。

これはこれまでのマーケットが示しており、Byteballなどのエアドロップは理念は良かったものの、良い結果を示したかは微妙といえ、結局エアドロップでトークンを取得する人はプロジェクトに関心を示さず、フリーマネーとしてそれを受け取り、結果、プロジェクトに良い循環をもたらしている事例はこれまでありません。

しかし、パブリックセールが以前より難しくなった中でエアドロップを用いるプロジェクトは一定数いると考えられ、ひとまずはDefinityなどのエアドロップの方式(2年前からSlackコミュニティなどに入りプロジェクトに長く関心を持っていた人を優遇してトークンを配分、厳格なKYC)がワークをするのか経過が見守られるべきだといえます。

また、Astronaut Capital社は、マーケットの投資家は、パブリックプロトコルのICOを探し続けると予測しています。
これについては僕も同意です。
実際にEthereumに肉迫できるようなプロトコルになれるかどうかや、プロトコルの真なる優位性の有無などを度外視して、パブリックプロトコルのトークンはある程度サードパーティーのアプリケーションが入れば大きく価値がつく傾向にあります。

投資家は、次のEthereumやICONなどの大きなリターンを得れる投資先を探しており、その需要によって、パブリックプロトコルのICOは今後もでてくるのだろうと思いますし、それらのパブリックプロトコルには資金が集まります。
逆にいうとパブリックプロトコル以外、ユティリティートークンの投資は減るだろうと予想できます。

研究所サロンでは、業界で影響力が高い各ファンドが、それぞれどのような投資をしているか、⑴投資先プロジェクト名、(2)投資時期、(3)調達金額、(4)プロジェクトの概要を記録したデータベースを作成しています。

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Astronaut Capital社の注目領域:DEX、証券トークン、プライバシートークン

Astronaut Capital社は、注目領域としてDEXをまず挙げています。

DEXは、2017年から構想されていた0x、KyberNetwork、Airswapなど他にも数々のプロジェクトがプロダクトが稼働しはじめています。
また、多くのプロジェクトが出てきたことで、競争が起こりUI/UXは日々改善され続けています。

特に0xは、DEXのプロトコルであり、これを使ったリレイヤーの数の増加も凄まじく、またリレイヤー同士でも競争が起こってプロダクトは改善されていたり、いくつかのリレイヤーはユニークなポジションを築こうとしています。

DEX全般において、Ethereum上のトークンだけを交換するファンクションはある程度整ったといえる段階にもあると思います。

それぞれ流動性問題は残していますし、ERC20トークンのみの交換所の限界も感じます。
これらを解決する次のブレークスルーはクロスチェーンですが、これをトラストレスでユーザビリティも担保して実装するのはかなり難易度高いので、むしろ過渡期のソリューションがもっと提案されるべきと僕は考えています。

証券トークンやプライバシートークンにより成長余地があることは、特に説明不要でしょう。

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Astronaut Capital社による2018-2019年の予想

 

1.Binanceは2019年に取引所をリードする存在ではなくなる。

Astronaut Capital社は、2019年にはDEXがテイクオフをして、Binanceは存在感が落ちるとしています。
これは個人的には同意はできません。

Binanceが他の中央集権取引所に追随される可能性もありますが、DEXに追随されることはないだろうと思います。

Binanceに追随するとは、つまり分散型取引所で異なるブロックチェーンのトークンを高いスループットで取引させることが必要になりますが、これが2019年に実現をすることはまずないでしょう。

DEXは成長しても、すぐにBinanceを脅かすほどの成長はしません。
また、Binance自体も、DEXを最重要領域とまで強調しています。
簡単にリプレイスされることは当然ないし、彼ら自身がDEXに取り組むはずです。

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2.XRPの価格が高騰

Astronaut Capital社は、“While it is probably the most hated cryptocurrency in the market (おそらく市場で最も嫌われている暗号通貨である)“と皮肉の効いた前置きをしたうえで、XRPの価格が高騰をする可能性を取り上げました。

彼らのポストによると、もし実際にまともに銀行と取引が開始をされれば、価格は大きく上がるだろうということです。

実際のところ、僕のバイアスを抜きに事実として、XRPの投資家のほとんどは日本人や韓国人の個人投資家が中心で、その他の地域でXRPに興味を示している人は少ないです。

XRPが論理的に考えて銀行取引で使われることなんてないと思っているのです。
だからこそ、本当に「Actual Deal」が開始をすると価格は激しく高騰をするということでしょう。もっともその
可能性は少ないと思いますが。

ですが、ブロックチェーンの分散や非中央集権の理念とは全く異なりますが、リップル社のロビイング力は本物だと思います。
これだけ私企業がトークンを大体的に販売をして、執筆時点(2018年6月)でSECに未だなにも言及を受けていないからです。

3. Tether が監査を終える

Astronaut Capital社は、Tetherが監査をうけて安定をすると見解を示しています。
これの理由はわかりませんが、同じくあり得ないことではないと思います。

過去に指摘してきたように、stable coinは、エコシステム全体にとって非常に重要なファンクションです。

今、この領域の様々なプレイヤーが参入をして、投資が集まっています。
そこで思うのですが、Tether社自体の買収を検討をする会社だっていておかしくないのです。
また、
Tetherは、上場している取引所の多さやアダプションに大きな優位性があるので、多少残高とずれていて負債があってもTether社を買いたい企業はいるのではないかとは思います。

4. 0x(ZRX) が5ビリオンまで時価総額を伸ばす

ポジショントーク感がありますが、彼らは0xが時価総額を大きく伸ばすと予想しています。
先ほども書きましたが、0xで立ち上がっているリレイヤーは本当に多様であり、その成長速度は凄まじいです。
とはいえ、その存在感やリレイヤーの数に比して出来高はまだ少なく、経過が見守られます。

5. Tron (TRX) will still be a top 10 ‘shit’coin

Astronaut Capital社の原文をそのまま訳すと、
「Tron (TRX) 」は来年もそのままトップ10に君臨するシット(くそ)コインだろうと主張しています。
この主張はわからなくもありません。
無理解な市場参加者が、また新たに無理解な市場参加者を呼び、シットコインにも価値がついてしまうのです。
ところで、ちゃんとしたアセットマネジメント会社が、公式に特定のコインを ‘shit’coinというのは日本人にはなかなか新鮮ではないのではと思います。
海外ではこんなものです。

本レポートの続きでは、その他のプレイヤーのそれぞれの発言や投資ディールなどから、各プレイヤーがどのような未来を見据えて投資をしているのか読み解き、それを考察します。

・・・・
いかがでしたでしょうか。
程よく概観と1年スパンくらいの予測として楽しめるのではないのでしょうか。
次回以降でいくつかの主要プレイヤーの今後どのような展開をしていくつもりか整理をし、未来考察を進めていきます。

目次

取引所はなぜDEXに取り組むか

■BitfinexのDEXへのアプローチ(Ethfinex)
■CoinbaseのDEXへのアプローチ(0xリレイヤー)
■BinanceのDEXへのアプローチ(BinanceはどのようなDEXを作ろうとしているか彼らの発言などから読み解く)
■既存の取引所がDEXに取り組む理由をより詳細に因数分解する。

Dappsブラウザ、ウォレットプロバイダのマネタイズの解

■ウォレットの将来像
■ウォレットがオープンソースであってもビジネスが成立する解になりうるもの
■ビジネスとしてオープンソースソフトウェアを提供する際の防御性
■将来の暗号通貨ウォレットのUX(入金、支払い、サブスクリプション、KYC 、Stablecoin)

(続きは、研究所サロンに入会してお読みください。)

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