暗号通貨マーケット

シリコンバレーで最も影響力の大きい暗号通貨ファンドの投資スタイルと、影響力を強めるCoinbaseマフィア

 

Andreessen Horowitz(a16z)が300億円規模の暗号通貨ファンドを設置

Andreessen Horowitz(a16z)が新しく暗号通貨ファンドを設立しました。
規模は、300Million$(約330億円)で、テック業界で大きく話題になっており、今後も影響力が高いと予想されます。

Andreessen Horowitzは、2009年創業をしたベンチャーキャピタルであり、運用額約27億ドル(約3000億円)で、シリコンバレーで最も影響力のあるベンチャーキャピタルの一つです。

同ファンドは、連続起業家であるマーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)とベン・ホロウィッツ(Ben Horowitz)によって設立されました。

マーク・アンドリーセンはウェブブラウザ「モザイク」の開発者であり、ベン・ホロウィッツも起業家で、日本でも話題になった『HARD THINGS』の著者でもあります。
両者はTim Howes, In Sik Rheeと共に「Loudcloud」を1999年に創業し、後にヒューレット・パッカードへ165億ドルで売却しています。

彼らのファンドの創業期、設立から3年足らずの2012年に、1.5 billion(約1500 億円)のLPからの出資をわずか一ヶ月で終えるということは大変話題になりました。

マークアンドリーセンは、2013年というこの業界が非常に黎明期の段階から、ビットコインはなぜ重要であるか、ビットコインはインターネットに匹敵をするイノベーションであると度々主張をしてきた人物でもあります。

彼のポストである『Why Bitcoin Matters』というポストは当時大変話題になりました。

Why Bitcoin Matters
https://dealbook.nytimes.com/2014/01/21/why-bitcoin-matters/

他、ビットコインに否定的なウォーレンバフェットと、非常に前向きなマークアンドリーセンとの対比がフォーブス誌で取り上げられるなど、積極的な姿勢は増すばかりです。

Bitcoin Battle: Warren Buffett vs. Marc Andreessen
https://www.forbes.com/sites/kashmirhill/2014/03/26/warren-buffett-says-bitcoin-is-a-mirage-why-marc-andreessen-thinks-hes-wrong/#4906d47b7f3c

実際、彼のファンドでは2014年から暗号通貨。ブロックチェーン関連のスタートアップへの投資が活発化をしており、その中でも最も成功をした投資がCoinbaseに行なった創業初期への投資です。

a16zの暗号通貨ファンドを牽引するプレイヤーたちの経歴

彼らは新しく暗号通貨業界のみに投資をするファンドを設立し、エクイティ、トークン、プロトコルに出資を行なっていくとしています。

彼らはすでにこれまで多くの暗号通貨投資を行なっている他、Placeholderなどの暗号通貨ファンドへのLP出資も行なっていますが、新しくファンドを分けた理由は、「本体のファンドで、全体のボリュームに対して暗号通貨関連に投資をする割合が超過してしまっているから。」とフォーブス誌でコメントしています。
つまりは、それだけこの業界に思いっきり突っ込んでるということです。

今回、ファンドをリードするGP( General partners )としては、Kathryn Haun氏と Chris Dixon 氏を迎えています。

Kathryn Haun氏のジョインは、a16zにとって女性がGPとしてa16zで仕事をすることははじめてで、男性主義と呼ばれるシリコンバレーエリアでみても非常に珍しいです。
彼女は、連邦検察官として約10年間のキャリアを持ち、サイバー犯罪を担当、マウントGOXや麻薬取引サイトのシルクロードを調査し、その過程でCoinbaseにヘッドハンティングをされるという異色の経歴です。
Coinbaseではボードメンバーであり、役職は今後も継続されます。

Chris Dixon 氏は、これまでもa16zのGPとして仕事をしてきて、Crypto enthusiastとしても知名度が高いです。
恐らくこれまでのa16zの
彼自身はセキュリティ系などの2社のスタートアップを創業後、EXITをし、その後、 Foursquare,、Kickstarter,、Stripeなどに投資、また、 Founder CollectiveというVCを創業しています。

ちなみに彼はライターやブロガーとしても積極的に記事を書いていて、シリコンバレーの最前線でアクティブに投資活動をしている彼の記事は有用なものが多いので、個人的にも推奨したいブログの一つです。
https://medium.com/@cdixon

Chris Dixon 氏も、Kathryn Haun氏同様にCoinbaseのボードメンバーでこちらも同じく継続されます。

シリコンバレーエリアで最も影響力を高い暗号通貨プレイヤー

さて、このように見ると、シリコンバレーエリアの暗号通貨業界では、Coinbaseとa16zによるクリプトマフィア(coinbaseマフィア)と呼べるような構造が出来上がっていると言っても良いでしょう。
前述したように、彼らは2013年に、coinbaseに投資、その他a16zからはRippleなどに投資を実行、業界で最も成功をしたプレイヤーです。
a16zの投資先である21は、2014年最も注目をされたビットコインスタートアップで当時coinbaseを超える資金調達金額で注目を集めましたが、最近、EXITをしました。
21は、a16zの投資先でありましたが、その売却先もまたa16zの投資先であるcoinbaseであり、彼らのインナーサークルの影響力は非常に大きいです。

特にテック業界は、彼らをフォローするプレイヤーは多く、彼らの動向を注視することは今後さらに重要度が増します。

日本・韓国の個人投資家の資金が暗号通貨業界から撤退が続いているのが、執筆時点での市況ですが、ロングタームで重要度がはるかに高い資金の動きは、こちらのほうです。

個人的にも最近、シリコンバレーエリアに滞在をし、a16zやCoinbaseまわりについて、彼らの暗号通貨業界へのアプローチとして、強いインナーサークルはできているような印象はうけました。

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ロングタームで業界へコミットをする暗号通貨ファンドの投資スタイル

今回のa16zの暗号通貨ファンドの設立にあたり、テッククランチでもインタビューでも出ています。
こちらを参照しながら、彼らの暗号通貨への投資、業界への向き合い方を見ていきます。

Andreessen Horowitz has a new crypto fund — and its first female general partner is running it with Chris Dixon
https://techcrunch.com/2018/06/25/andreessen-horowitz-has-a-new-crypto-fund-and-its-first-female-general-partner-is-running-it-with-chris-dixon/

・EXITや売却時期について

彼らは、これまで(2018年6月時点)トークンについては一切の売却を行なっておらず、全ての投資は5-10年の視野をもっているといいます。
最も暗号通貨の市場はスタートアップの投資と違い、上場が基本的に早くて、市場で売却は可能なので、潜在的売却可能性はあるでしょうが、彼らはこのような時間軸で投資を行なっています。

これはUnion Squea Ventuersから独立をしたJoel Monegro氏が立ち上げた、暗号通貨ファンドのPlaceholderも時間軸については同じ姿勢です。
こちらも非常に影響力が高いファンドのプレイヤーであり、Placeholderのファンドの期限は10年、サイズは100M$(約110億円)です。

彼らの投資もロングタームであり、同様に驚くべきは彼らが投資をするこの黎明期の業界に、10年のコミットメントで数百億円単位の出資者が短期間に集まっていることです。
最も、彼らはVCスタイルのファンドでありますが、日常的に売買をするヘッジファンドモデルのクリプトファンドもすでに複数存在することをここで注釈しておきます。

・ICOについて
適格投資家以外に販売をするICOには投資はこれまでしていないとコメントしています。
A16zのこれまでのICOの投資先としては、Filecoinなどがありますが、これはcoinlistを用いて、適格投資家のみに販売をされました。

Chris Dixon 氏は「投資の民主化」というコンセプトは賛成すべきアイデアであるとしていても、規制は現段階でそれを許さないだろうとコメントしています。

・競合について

通常、これまでのスタートアップの市場では自分たちのファンドの投資先の競合になる会社に投資をすることは一般的ではなかったが、暗号通貨・ブロックチェーンの市場では違う感覚を持っているとChris Dixon 氏はコメントしています。
どちらかというと、パイ全体の増大を拡大するためにより協力的であるというのが、彼の意見です。
これは個人的にも同意ができる部分が多いです。

というのも、多くのプロジェクトがオープンソースであったり、オープンソースでなくとも既存産業よりはるかにオープンイノベーティブ思考なので、ファンド側もそれに合わせる必要が生じているのだろうと思います。
実際、何人かのタレントなGPが複数のファンドに出入りして、かつ取引所などの企業のボードメンバーを兼任するような事例はいくつかあります。
今回、a16zの暗号通貨ファンドをリードするChris Dixon 氏もそのひとりです。

暗号通貨ファンドの投資先リストのデータベース

なお、現在、当研究所サロンでは、各ファンドの投資先をまとめたデータベースを作っています。

かなり充実したデータベースになっているので、ぜひ参考にしてほしいです。

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Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、Union Square Ventures、Polychain Capitalなど現在、10件の投資先を網羅しています。

現在、それぞれのファンドから、⑴投資先プロジェクト名、(2)投資時期、(3)調達金額、(4)プロジェクトの概要を整理していて、2018年5月時点の情報はおおよそ全てまとまりました。

その他、現在、研究所サロンでは暗号通貨ファンド周辺の動向についてのトピックがやや多めになっています。

是非参加者のみなさんと一緒に議論ができればと思います。
一度研究所に、ご入会して頂くと研究所サロンの過去の500本以上のレポートやコラムが全て閲覧できる他、不定期で行っているイベントなどにアクセスできます。(続きは、研究所サロンに入会してお読みください。)

 

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