取引所

中国の主要取引所「Huobi Group」が作る中華経済圏を概観する。会社概略・戦略・直近アクティビティetc

本レポートは、Meika Yamamoto(Twitter:https://twitter.com/meikamiyamoto97)さんの寄稿レポートです。

これまでも数回に渡って、中国ファンドの実態について、中国語の情報源を駆使して密度の濃いレポートを寄稿していただいています。

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今回は、中国系取引所として、Binance・OKExと同様に有名なHuobiグループのエコシステムとキーパーソン、経営戦略を概観・考察します。 Huobiの略歴や行なっていることの整理は、今まであまりされておらず、よくまとまっています。

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Huobi Groupの構造

まずHuobi Groupの構成をエコシステムの見地から見ていきます。

(画像は金色財経から引用)

中国最大手仮想通貨メディア金色財経の図によればHuobi Groupを構成する事業は大きく6つに分類することが可能です。

取引所事業、マイニング事業、ウォレット事業、エコシステム形成事業、研究機関、新事業の開発です。しかしHuobiの事業は日々増加しており、現在進行形でこの図以外のビジネスも非公開のものを含めて10以上あるとされています。ゆえに今回はこのエコシステムの中でも特にHuobiが戦略上力を入れているものを中心にみていきたいと思います。(https://www.huobigroup.com/business/)

取引プラットフォーム

Huobi pro

URL:https://www.hbg.com/en-us/

Huobi Groupの中心となる世界第5位の流通量を誇る仮想通貨取引所です。

シンガポールに拠点があり、現在は後述するHADAXと共にHuobi Global Teamによって運営されています。現在世界約5位の通貨の流通量を誇り、Binance,OKEx,Bitfinexなどに続いています。 1000種類以上のアルトコインを取り扱い、UI/UXもみやすくユーザーフレンドリーです。セキュリティに自信があるとの宣伝通り流通量に比して目立ったハッキングなどの事件も特にありません。

HADAX

URL:https://www.hadax.com/ja-jp/

Huobiエコシステムのなかで唯一のDEX(分散型取引所)になります。

上場通貨はHTトークンの保有者の投票によりリスティングされた通貨の中から決定します。この際HADAXはあくまでもそのプロジェクトの真正性と合法性のみをチェックし、リスティング自体もユーザーが行います。そして投票量の多い通貨がHADAXに上場し、その通貨に投票したユーザーにはHTトークンが報酬として配布される仕組みでした。

より具体的には、HADAXにリストアップされた通貨に対する投票権を持つ投資家たちは2種類に別れています。通常のユーザー(「投資家」)と業界での高い投資実績があり、登録にはHuobiの厳正な審査を必要とするファンド(「スーパーノード」と呼称されます。当初21のファンドがスーパーノードとして登録されていました)です。ノードという名前が付いていますが、特にカストディなどのサービスをするのではなくあくまでも特別な投票権を持ったユーザー程度の意味しかないです(Huobiのこのあたりのネーミングはあまり上手くなく、勘違いをさせる表現だなと個人的には思います)

通常の投資家は自分の保有する0.15HT=1票として各プロジェクトに投票できます。

この際プロジェクトはホワイトペーパー、チームメンバーのSNSアカウントなどを全て開示した上で生放送などで直接ユーザーとコミュニケーションをはかり、アピールしたり質問に答えたりします。その結果評価が高くなり上場した場合には、上位のHuobiへの上場も可能になります。 一方でスーパーノードの投票にはHTトークンは不要で、各スーパーノードが一票の権利を有して投票を行います。この際全てのスーパーノードから投票されたプロジェクトはその地点でHADAXおよびHuobiへの上場が決定しますが、そのようなプロジェクトは非常に稀であり、通常は票が分散します。

結果より多くの票を集めたプロジェクトが通常のユーザー投票を待たずしてHADAXへの上場を認められます。逆に言えば通常のユーザー投票で上場が決定するのはスーパーノードの票を得られなかったプロジェクトが多くなります。

このHADAXは2018年9月19日にHuobiと合併し機能の全てを吸収され、現在はHuobi Globalにより運営されています。

Huobi OTC

URL:https://otc.hbg.com/en-us/#/

OTCとはOver The Counter(直訳すると「店頭」)の略で、取引の際に取引所を介さずに売り手と買い手が直接取引することを意味しています。通常のHuobi Proと異なりHuobiはOTC専用の取引口座・取引履歴・広告などを提供するのみで、そのほかは買い手と売り手の両当事者間で取引する通貨の量・価格・決済方法などを決定することが可能です。 Huobi Proとの相違点 Huobi OTCでは全てのHuobi Proの通貨を扱える訳ではなく、BTC,ETH,USDT,EOS,HTにのみ対応しています。

ただ取引自体に手数料は発生せず、OTC専用口座への入出金も無料です。適格投資家らに向けた上級サービスの位置付けです。 他にもローカル取引所としてHuobiが力を入れているのが、韓国とオーストラリアです。韓国については厳しい規制をクリアし取引所創設に成功したため、オーストラリアについては現地企業との合同事業のモデルが綺麗に決まったためと思われます。

Huobi Korea

URL:https://www.huobi.co.kr/ko-KR/

ソウルに拠点をおくHuobiの韓国支社です。ウォンベースで仮想通貨取引を行うことが可能です。韓国の取引量の多さや韓国政府の規制を鑑みて設立されたと思われます。

Huobi Australia

URL:https://www.huobi.com.au/

Huobi Groupとオーストラリアのブロックチェーン企業Blockchain Globalが共同設立した会社です。Blockchain Capitalは企業向けにブロックチェーン技術による商業化やプラットフォーム構築支援、スタートアップへの投資を実施するオーストラリア最大級のブロックチェーンカンパニーで、このHuobi Australiaは両企業により設立されたオーストラリア政府による許可(認可?)を受けた取引所になります。

インダストリー・リサーチ(産業調査)

Huobi Research

URL:https://medium.com/@huobiresearch

2016年4月に設立され、2018年3月以降はあらゆる領域におけるブロックチェーンの活用に関する調査を行っているシンクタンクです。 もっとも、単なるシンクタンクではなくブロックチェーンの技術開発やアプリケーションの導入を促進し業界のエコシステムに貢献することも目指しています。Mediumではビッグデータに基づく毎週の取引量・取引額などの市場に関する分析を配信しているようです。

ブロックチェーン・サービス

Huobi China

URL:https://www.ccn.com/crypto-exchange-huobi-to-build-blockchain-lab-in-chinas-hainan-province/

Huobi Groupが中国で一貫して提供するビジネスに関するサービスラインです。 Huobi Groupはシンガポールに拠点を移してからも依然中国ではHuobiのプレゼンスは圧倒的であり、このネームバリューを生かして企業のブロックチェーン導入支援などを通じたワンストッププラットフォームを提供しています。内容としてはシンクタンク、研究機関、仮想通貨専門家養成スクールなどの各事業を提供しています。

Huobi Capital

URL:https://www.huobi.com/capital/

Huobiエコシステムの中でも特に力を入れて運営されているブロックチェーン専門ファンドです。業界の有力な投資家に投資することで技術開発の促進、およびHuobi経済圏に取り込むことを目的にしています。現在までの投資実績としてはThunder Token, Theta, AELF, Blockstack, Republic Protocol, Ontology などに投資済みです。

HADAXとは異なりHuobi Capitalによって投資を受けたプロジェクトは必ずしもHuobiに上場できる訳ではありません。(ただ考慮には入るようで、可能な限りの支援も行うようです)アーリーステージのプロジェクトに対し平均して数百万米ドルの投資を行なっているようです。リターンは不明です。

Huobi Global Ecosystem Fund

URL:https://www.huobi.com/topic/eco/

2018年に2億ドルで設立されたエコシステム特化型ファンドです。Huobi Capitalとの棲み分けについては明言されておらず、正直なところ良くわからないのが現状です。しかしHuobi Capitalがエコシステムを拡大するための装置である(要はまだHuobiと関わりの無い企業への投資を行なったりする)のに対してこちらのEcosystem Fundは既にHuobiエコシステムに既に参加する企業らによってエコシステムおよびオープンソースでの開発を強化していく仕組みをとっているものと思われます。(すなわちHuobi経済圏の中には経済圏拡大のためのファンドと経済圏の維持・強化のためのファンド、2種類あるということになります)

Huobi Mining Pool

URL:https://www.poolhb.com/pos/

Huobiのマイニングプールで、世界トップ10のハッシュレートを記録しています。

もっとも単なるマイニングプールではなく、仮想通貨のマイニングおよびそれに付随する取引の全てを統合した世界初のマイニングプラットフォームです(BTCとBCHについてのみ)。 より具体的に言うと、このHuobi Groupのアカウントは一つ登録すれば他のサービスへの互換性があるという性質を利用し、Huobi mining poolでマイニングを行い得た収益をそのままHuobi .ProやHuobi OTCに入金し、取引することが可能になります。

Huobi labs

URL:https://www.huobi.com/labs/

アーリーステージにいるブロックチェーンプロジェクトを支援するために2018年5月にサンフランシスコに設立されたインキュベータです。 ICOを含む資金調達に関するアドバイザリーやHuobiによる技術・資本支援、業界に関する情報提供(Huobiが独自に調査したブロックチェーンアセットに関するモデルが知見としてHuobi内に溜まっているようで、これらの情報を提供するようです)などを行います。 実際に支援を受けたプロジェクトにはIOST、DATA、CoinMeetなどがあります。 実際に投資するHuobi Capitalと異なりHuobi labsは投資自体は行わずあくまでもコンサルティングを提供し、Huobiその他有力なパートナーとスタートアップが協力するサポートを行うのみです。

Huobi Wallet

URL:https://www.huobiwallet.com/

9月にリリースされたモバイルウォレットです。BTC,BCH,USDT,ETH,ETC,LTC,および全てのERC20トークンを含めた1000以上の銘柄に対応しています。既にアンドロイド版もiOS版もリリース済みです。UI/UXにこだわっているとのアナウンス通り、ポートフォリオや市場動向がシンプルで非常に見やすいです。またKyber NetworkなどのDEXにも対応しています。 Huobiの経営戦略はそのほぼ全てがBinanceの後追いで、両者の経営戦略は一言で言えば独自エコシステムを形成しプラットフォーム化することです。ゆえに両者が取引所と接続し安全に資産を管理するために、マネタイズが難しいことを承知の上でウォレット事業を行うこともエコシステム的な観点からは当然考えられる戦略でした。もっとも、BinanceがTrustを8月に買収し、事実上Binance独自のウォレットの開発を放棄したのに対しHuobiは独自にエコシステム内でウォレットを作り上げたのは対照的です。

Huobi Chat

URL:https://www.huobi.im/

現在β版が稼働しているHuobi独自のSNSです。Huobi版のLINEやWechatのようなもので、正式ローンチは10月のようです。仕様は不明ですが分散型トークアプリを目指していて、このHuobi Chatによってチャット、写真や文章の投稿・共有といったSNS機能、ニュースフィード、ゲームなどのあらゆるサービスが可能になるようです。

この他にも現在Huobi Cloudを提供、AWSを超えることも目指していますし、HTトークンと呼ばれる独自トークンを発行しています。

HTトークン

HTトークンの具体的な仕様については過去にサロンで記事がでているのでご参照ください。今回はHuobi Group内での位置付けについてのみ考察します。 HTトークンは簡単に言えばHuobiエコシステムの基盤となるトークンで、単なる取引所トークンではなくHuobi Groupを一つの国もしくはコミュニティのように見立てた上で中で使用でき他通貨と換金できる通貨としての機能があります。

例えばHuobi Glbal Ecosystem Fundの中ではHTトークンが使用されていたり(詳細は不明)、HADAXにおける上場コインの決定もHTトークンを用いて投票できる仕組みが採用されていました。 HuobiとしてはBinanceトークンとは異なりバーンすることで価値を担保することはなくHTトークン買い戻しを行なっていますが、これは万が一ハッキングされた場合に備えて賠償のためのプールとしているようで、この買い戻したトークンを平常時の取引に使うことはないことを考えれば事実上価値の維持のための担保はされていると言えます。 ユーザーにとってもHTトークンを保有し取引を行うことで手数料が半額になったり、特別なオフライン・オンラインイベントに招待されたりすることができますので、Huobiを使用する際には使わない手はありません。

エコシステム内の基軸通貨をエコシステムに参加する全ての人が持っていることでコミュニティを活性化させられるため、その手段としてトークンを発行していると考えれば、HTトークンの高配当やエアドロップにも合理性があるように思われます。

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レポート全文では、Huobiの沿革、キーパーソンの紹介、ビジネスの特徴、最近のアクティブティや今後の戦略、課題などの分析考察を行なっています。

目次

  • Huobi Groupの構造
  • Huobiの沿革
  • Huobiによるビジネスの特徴
  • 最近のアクティビティと今後の戦略
  • Huobiの抱える課題

(続きは、d10lab研究所サロンに入会してお読みください。)

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