Ethereum

レポート:DEXプロトコルの0xとは。分散型金融を担うプロトコルの仕組み・ZRXのモデル・エコシステム全般・課題

本レポートでは、DEX(分散取引所)のプロトコルである0xについて俯瞰します。
現在、この0xを使用して様々なプロジェクトが構築されようとしており、サードパーティーのプロジェクトは30以上にも登ります。

また、執筆時点でcoinbaseの上場検討銘柄としていることや、同じくcoinbaseが0xリレイヤーであるParadexを買収するなど注目度は高く、0xに期待をする人は分散型金融のインフラストラクチャーになるとも言います。

RELATED POST
米国最大の取引所coinbaseが業界に与える影響。UBERとAirbnb以降に最も成功したアメリカのスタートアップはどのような成長をしたか。研究所サロンでは、米国最大の取引所であるcoinbaseに関するレポートを配信しました。 coinbaseは、暗号通貨企業としてだ...

0xは、それ自体がDEXではなく、これを使用してDEXを構築できるプロトコルです。

0xを使用して作られるリレイヤーと呼ばれるDEXプロジェクトは、ユーザーの資産を預けることなく、ERC20の交換所を提供できるようになります。

RELATED POST
DEX(分散型取引所)が将来どのような要因で利用拡大されるかについて。テイクオフに必要なポイントを3つに分解。DEX(分散型取引所)が、今年に入ってから特に注目されています。 こちらのレポートに続き、将来予想シリーズです。 https...

本レポートでは、0xの仕組み、ネイティブトークンのZRX、問題点、チームや関係者周辺、サードパーティー、エコシステム全般について俯瞰します。

0xに関して、仕組みのみを説明した記述などは存在しますが、周辺プレイヤーやチームの来歴、課題などもまとまったレポートはなく、参考になれば幸いです。

0xプロトコルの仕組み

前述をしたように0xは、サードパーティーがDEXを構築をするためのプロトコルです。
とはいえ、そのサードパーティーが実際に取引が成約の際にトランザクションを処理することは行いません。
サードパーティーは、オフチェーンでメッセージを送り、注文を仲介する役割を果たします。

つまり、注文をリレーしている状態といえ、そのため、0xのプロトコルでDEXを構築するプレイヤーは、「リレイヤー」と呼ばれます。

引用:https://www.reddit.com/r/0xProject/comments/7n9h58/no_trading_discussions_allowed_on_this_subreddit/

フロントエンドは取引所ですが、実際の取引実行はせず、リレイヤーは注文の通信をするという仕組みです。


注文自体をオフチェーンで行い、取引が完了した場合のみブロックチェーン上のでトランザクションが成立することからオフチェーンオーダーブックと呼ばれます。

オーダーブックをオフチェーンにすることによるメリットは、全てをオンチェーンで行うことと比較して、高速な取引と低い手数料が実現であり、DEXのスケールを目指しています。

取引オーダーを出したアカウントの取引を出した総数のトークンは、その時点で、スマートコントラクトがアクセスできるようにメイカーが署名を行います。
そのオーダーをテイクする取引相手は、同じくスマートコントラクトがアクセスができるように署名をし、メイカーの署名とあわせスマートコントラクト によって取引が行われます。

これは最後の処理以外の部分はオフチェーンで行なっており、そこを担っているのがリレイヤーです。
また、リレイヤーにはopen order bookのリレイヤー形式、matching modelのリレイヤー形式の2つが存在します。

open order bookは、オーダーブックをその他のリレイヤー、または任意のリレイヤーと共有できるリレイヤーです。

matching modelのリレイヤーは、単一のオーダーブックの中でのみ取引されます。
いずれの場合も、リレイヤーは署名された注文をリレーして、オーダーブックの管理を行う存在です。

リレイヤーのインセンティブ

リレイヤーはオーダーブックの管理をするインセンティブに仲介手数料の収入を得ます。
この手数料はZRXのネイティブトークンによって収益を得て、その手数料率は各サードパーティーが自由に設定をできます。

ですが、リレイヤーは今の時点で、手数料無料、または非常に少額な手数料徴収で運営をしている傾向にあります。

0xのリレイヤーは、長期的には手数料は小さくなる傾向にあることは認識されていました。

複数のリレイヤーが存在をして、多数のリレイヤーが存在をするようになる場合、手数料の高いリレイヤーはユーザーから選ばれません。
結果、手数料はなるべく安い金額に収束していくはずです。

ですが、現時点で、すでに手数料無料のリレイヤーが複数でており、リレイヤーとしての競争環境は激しいものになっています。
これについては、本レポート後半で、ビジネスレイヤーとしてのリレイヤーを考察し、さらに後述していきます。

WETHについて

0xのリレイヤーを使用して実際に取引をしたことがある人は初め戸惑ったことがあるかもしれませんが、0xの取引では、WETH(Wrapped ETH)が用いられます。

スマートコントラクトを使用してトークンの取引を行うためには、取引されるトークンが同一の標準化された規格を持つ必要があります。
このためETHをラッピングしてWETHとすることで、ERC20トークンと同等に扱っています。

参考:https://weth.io/

しかし、このような必要性を理解することは多くのエンドユーザーにとって難しく、ETHをWETHに変換をしないと使用することができないという問題はユーザービリティを大きく毀損しています。

2018年9月にリリースが期待される0xのv2のアップデートでは、このWETHの変換がバックエンドで自動で行われるようになることから、その点のUXの改善が期待されます。
ただし、WETHはETHをERC20にラッピングした別のトークンですので、この変換をするたびにgasがかかり、この点は今後も残り、ユーザビリティの面ではやはりマイナスと言えます。

 

v2のアップデートで追加される機能

0xの2018Q3に行われたメジャーアップデートであるVer2がリリースされています。
できるようになることをは主に下記です。

・ERC721サポート
これによって、Non-Fungible Tokenトークンであるゲームアイテムの交換 、例えばCryptoKittiesなどのアセットのDEX構築が容易になります。

・WETHの変換を自動でバックエンドで可能に
これまで0xのリレイヤーで取引をするために、ユーザーはETHをWETH(Wrapped ETH)に変換する必要がありました。
これはリレイヤーにトークンの送受信の権利を与えてるために、ERC20にWrappingする必要があり、避けられないプロセスでしたが、UXを毀損している問題がありました。しかし、これをバックエンドで交換できるようにし、UXの改善をします。

・FilterコントラクトでKYC可に

次期のアップデートでは、FilterコントラクトでKYCを可能にする機能を実装します。
ユーザーの資産を預からなくとも、取引機能を持つプレイヤーは、KYCをすることが近いうち標準になる可能性もあり、最近では、Airswap、ShapesihtがKYC機能をつけています。
また、OceanTradeなどは、はじめからKYC実装を前提にしていたDEXですが、そのメリットを、DEXでありながらも機関投資家を受け入れることができることや、Stablecoin(ステーブルコイン)を規制に基づいて扱うことなどとしています。

ZRXトークンについて、ディストリビューションや設計

0xはネイティブトークンとしてZRXトークンを発行しています。
2017年の7月にICOを行い、$24Mを調達しました。
トークンのディストリビューションは下記です。

・(50%)ICOによる販売
・ (15%)将来5年間を通してチームへのインセンティブとしてのアロケーション、0xプロトコルレイヤーの開発に分配する

・(15%)ハッカソンやコミュニティでの開発者へのサポート、0xを用いたアプリケーションレイヤーに分配する

・(10%)創業者チーム、全てがロックアップ解除されるのは 4年
・ (10%)初期投資家とアドバイザーに対する分配

ZRXトークンのトークンモデルは、ユティリティートークンとガバナンストークンの2つの側面があります。
まず、前述をしたようにリレイヤーはZRXを用いた手数料収入を得て、トレーダーはZRXで支払うユティリティートークンのような側面を持っています。

一方、ZRXは0xのプロトコルをアップデートさせるためのガバンスに関わるトークンであるともICO時から説明されていました。
しかし、実際にどのような手法でガバナンスとトークンを結びつけるかについては議論の最中で設計段階です。

手数料としてのユティリティートークンの機能も備えている理由については、トークンが広いステークホルダーに使われて、できるだけ多くの人がプロトコルの意思決定に関われるべきという考えからだとしています。

ただし、前述をしたようにリレイヤーは、ZRXトークンとして受け取る手数料設定を極めて低くしており、実際にユティリティートークンとしてZRXは、現在使用されている分はわずかです。
これについて、さらにガバナンスに関わるトークンの設計部分も現在議論中であることから、ZRXはオーバーバリューであるという指摘も時々散見されます。
どのようにガバナンスに利用される議論が行われているかはレポート内で後述します。

d10n labで配信したレポート全文では、0xに関する下記の事項を解説しています。
おそらく執筆時点で、0xに関して最も詳しいレポートになっているかと思います。

参考になればと思います。

目次
■0xプロトコルの仕組み

■リレイヤーのインセンティブ

■WETHについて

■v2のアップデートで追加される機能

■ZRXトークンについて、ディストリビューションや設計
■0xの創業者、チーム、アドバイザー
■現在、0xがどれほど利用をされているかをデータから見る
■現在の上位リレイヤーたちの概要
■ビジネスとして見るリレイヤーのポジション
■0xの上に構築されると期待される数々のP2P金融プロジェクトたち
■オーダーブックがあるDEXである0xにつきまとうフロントランニング問題
■0xのクロスチェーンの展望
■0xのガバンスモデル、ZRXについての議論
■ZRXのトークンモデルと0xについての評価
■0x関連のツールリンク集
■総論

(続きは、d10lab研究所サロンに入会してお読みください。)
一度研究所に、ご入会して頂くと研究所サロンの過去の500本以上のレポートやコラムが全て閲覧できる他、定期的に行なっている収録イベントの過去ログ、不定期で行っているイベントなどにアクセスできます。

暗号通貨とブロックチェーンは、インターネット以来の大きいイノベーションであり、私たちの世代にとって最も大きいインパクトを与えパラダイムシフトを起こすと考えています。

d10n Lab(ディーテンエヌラボ)は、未来を思考する離合集散的なコミュニティオンラインサロンです。

暗号通貨のこと全般・投資リテラシー・移住など多様なトピックを扱うほか、嗜好が近いメンバーとも出会える場を目指しています。読みたいレポートをリクエストしたり、リサーチャーがマネタイズできるリサーチプログラムもあります。

FOR MORE DETAILS