IDEXとは
d10n labでは、IDEXに関するレポートを配信しました。
IDEXは、DEX(分散型取引所)プロジェクトとして知られます。
DEXのプロジェクトとしては、0xや、KyberNetworkが広く知られていますが、IDEXはその仕組みなどが話題になることは比較的少ないです。
しかし、執筆時点で、EthereumのDEXのトランザクションベースで最も使用されているのは、このIDEXです。
後述しますが、IDEXは正確にはDEXではなく、中央集権取引所との分散型取引所の中間のアプローチをとるハイブリッドなモデルです。
そして、DEXシェアの50%以上を占めているのは、このIDEXです。
(etherscan参照: https://etherscan.io/stat/dextracker )

また、DEXに限定をせず、Ethereumの全てのアプリケーションの中でも、最もトランザクションを大きく処理しているアプリケーションはIDEXです。
(DappReader参照: https://dappradar.com/dapps )

さらに重要な点として、IDEXはこの取引ボリューム・トランザクションを、約1年間維持して、Etheruem上で最も使用されているアプリケーションとしての地位を保ち続けています。
ホワイトペーパーは下記リンク参照です。
https://auroradao.com/assets/Aurora-Labs-Whitepaper-V0.9.5.pdf
実際の取引はこちらから行えます。
https://idex.market/eth/aura
ブラウザからMetamaskなどのウォレットを接続をすれば、簡単に利用ができ、使い方についての説明は必要ないでしょう。
取引のデモはこちらの動画からでも参照できます。
本レポートでは、IDEXのプロジェクト概要や、仕組みを解説し、ハイブリッドDEXについての考え方について考察を深めます。
IDEXの仕組み
通常、DEXの問題点としては、主には、下記の3つに集約されます。
①UI/UX
②取引手数料(gas)の高さ
③取引スピード(ブロックチェーンの処理スピードに依存)
が挙げられます。
それぞれのプロジェクトが、この問題に対してアプローチをしています。


例えば、①UI/UXについてはKyberNetworkなどはかなり工夫していると感じることや、③取引スピードの点では0xはオーダーブックの部分をオフチェーンにしています。
IDEXも独自のアプローチで③を解決しようとしています。
IDEXは、state hopというデータベースを噛ませる仕組みで、高速な取引を実現しています。 .
IDEXのアーキテクチャは、データベースへのオフチェーンメッセージングにより、ユーザーアカウントの状態の更新を処理します。
そのデータベースで高速に処理されたユーザーアカウント状態をUI/UX側で先に反映しているのが、IDEXの仕組みです。
これによって、ユーザーは、自身の秘密鍵を保持しながら、即時取引をしているかのような取引体験することができます。
全体のアーキテクチャイメージは画像のようになります。(ホワイトペーパーより引用)

IDEXで取引がマッチングするまでの順序
IDEXを使用して取引がマッチングするまでのイメージとして下記のようになります。
1.メーカー、またはテイカーは、トークンをIDEXのコントラクトにデポジットする(1取引を処理するためのチャネルを毎回開く)
2.コントラクトにデポジットされたら、IDEXはデータベース(ブロックチェーンではない)でトレーダーの公開鍵と、トークンバランスを保管する。
3.メーカーはトレードオーダーのトランザクションに署名する
4.IDEXはデータベースからそのトランザクションを確認する
5.データベース側での確認が完了をしたらオーダーブックにオーダーが反映される(ブロック生成を待つ必要はない)
6.テイカーがそのオーダーとマッチングする取引のトランザクションを署名する
7.IDEXはデータベースからそのトランザクションを確認する
8.データベース側での確認が完了をしたらオーダーブックに取引が反映される(ブロック生成を待つ必要はない)
9.IDEXのデータベースがアップデートされる。Ethereumのブロックチェーンでトランザクションが検証されたあとの残高をデータベースは事前に持つ(2で確認をしたように、IDEXのデータベースはユーザーの公開鍵とバランス情報を常に持っている)
10.データベースの処理を追いかけて、ブロックチェーンではトランザクションが完了する
11.スマートコントラクト のバランスがアップデートされる(UI/UXの観点では、9の時点で取引が完了しているように見えるが、ブロックチェーン上で取引がしっかり完了するのは11)
12.11が完了をしたら、ユーザーはトランザクションを自由に動かせる(9の時点で取引が完了しているように見えるが、Binanceなど他の取引所にすぐ送金したりはできない。ブロックチェーンへの書き込みが済んでからです。)
以上が大まかなIDEXの仕組みです。
d10n labで配信をしたレポート全文では、トークンモデルやチーム、IDEXに関するさらにリサーチした内容をご覧いただけます。
目次
*IDEXとは
*IDEXの仕組み
*IDEXで取引がマッチングするまでの順序
*「Aurora Labs」運営会社、メンバー
*IDEXの収益モデル
*IDEXのトークンモデル:IDEXM
*IIDEXのトークンモデル:AURA
*デュアルトークンの設計
*一部地域からのアクセス制限、KYCについて
*ハイブリットDEXというアプローチ、ユーザーはIDEXをどの程度信頼する必要があるか?
*総論
(続きは、d10lab研究所サロンに入会してお読みください。)
一度研究所に、ご入会して頂くと研究所サロンの過去の500本以上のレポートやコラムが全て閲覧できる他、定期的に行なっている収録イベントの過去ログ、不定期で行っているイベントなどにアクセスできます。
暗号通貨とブロックチェーンは、インターネット以来の大きいイノベーションであり、私たちの世代にとって最も大きいインパクトを与えパラダイムシフトを起こすと考えています。
d10n Lab(ディーテンエヌラボ)は、未来を思考する離合集散的なリサーチコミュニティです。
暗号通貨のこと全般・投資リテラシー・移住など多様なトピックを扱うほか、嗜好が近いメンバーとも出会える場を目指しています。読みたいレポートをリクエストしたり、リサーチャーがマネタイズできるリサーチプログラムもあります。