ベネズエラ

財政破綻国で暗号通貨はどのように社会を変えるか。ベネズエラ現地レポート。

先日、研究所サロンでは、ベネズエラで事業をされているメンバーの方と、「財政破綻国から暗号通貨を考える」というタイトルで、ベネズエラとジンバブエに関するレポートを収録配信しました。

南米に位置するベネズエラは、現在、ハイパーインフレが止まらない状況で、同国の野党議員が発表した数字では、2018年2月のインフレ率が年6147%に達していると言われています。
これは、1年前の自分の貯金が60分の1になっていることを意味していて、文字通り、日に日にお金の価値が下がっていく環境下にあるといえます。

僕も、もともと兼ねてより、通貨は国家によって独占されていることに疑問を持っていたことや、既存の通貨のオルタナティブになるものがあって然るべきだと考えて、ビットコインに興味を持ちました。

こういった疑問は、ビットコインを知る以前は、自身で貿易事業を行い10カ国近くに取引先があったことから、外貨を国外に出す国際送金が困難な国があることを知ったり、銀行の口座に自国通貨と米ドルのバランスが決められているような国などを目の当たりにした経験があったからです。

そういったこともあり、財政破綻国では、その国の人々がどのような経済感覚を持っており、国家にどのような思いを抱いているか、国家のお金が機能しなくなった社会はどういったものなのか、非常に興味がありました。

そのため、2018年の年初には、2010年代前半にはハイパーインフレを経験したジンバブエまで足を運び、現地の土着の人からビジネスマン、政府官僚までを取材しました。

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現在、進行形でハイパーインフレ下にあり、しかも財政危機脱出の機会を、国家政府が暗号通貨に見出しているベネズエラへも是非行ってみたかったのですが、当地の治安はかなり悪く、護衛も必要ということでしたので、現地への渡航は諦めました。

そんなときに、運営中の研究所サロンのメンバーが、なんとベネズエラでマイニング事業を始めており、今回、研究所サロンで現地の様子をレポートする収録イベントを行いました。

「財政破綻国から暗号通貨を考える」というテーマで、僕からはジンバブエについて、ゲストの風間さんからはベネズエラをレポートしてもらい、議論を行いました。

今回お呼びしたゲストはもともと南米ビジネスの専門家ですが、2018年現在、最も経済状態が悪い国であるベネズエラにここまで入り込めるのは唯一の日本人ではないかと思います。

ベネズエラの暗号通貨に関する政策

ベネズエラは、国家としてペトロを売り出すICOを今年2月に開始することを発表しました。
国家発のICO最速はエストニアではなく、ベネズエラということになります。
調達規模としては数千億円で、同プロジェクトには大統領署名もされ、明確な国家プロジェクトです。

ベネズエラ議会議員のホルヘ・ミラノ氏によると、
「これは、暗号通貨ではない、これはベネズエラの石油の先売り売却です。暗号通貨、あるいは新しい通貨を発行するようなグレーなものではない。」
と述べています。

また、背景として、ベネズエラは、アメリカから経済制裁されてる国家でもあります。
石油輸出国機構(OPEC)が1月18日に公表した集計によると、2017年のベネズエラの原油生産量は日量207万2000バレルで、2016年比で約13%減少しました。
産油国は昨年、OPEC主導の協調減産を2018年末まで延長することで合意しましたが、ベネズエラは6年続く原油生産の減少に歯止めを掛けることができずにいます。
なお、ベネズエラは外貨収入の90%以上もを石油産業に依存しています。

ベネズエラは、現在、国家プロジェクトで暗号通貨に関するスクールや、ペトロ使用に関する法令整備を行なっています。

独自で石油決済トークンを作ることは、石油決済通貨のアメリカドルを外すことでもある

さて、このICOは財政破綻危機にある国の再建の手段というだけでなく、石油決済通貨は米ドルという絶対的な暗黙的了解を覆そうとしていることでもあります。
アメリカが何故強いか、その一端は、ドルが基軸通貨だからです。
何故、基軸通貨なのか、その理由は背景にある軍事力がまずひとつ。
アメリカが毎年財政赤字でも、日本はアメリカと付き合わないといけないので、米国債を購入するわけです。

次に米ドルが石油決済通貨だからです。
なぜ石油決済通貨かは、これまた軍事力や様々な密約の歴史があります。
石油は、米ドル決済が国債市場で暗黙の了解なのです。
ここで、暗号通貨がベネズエラに提示したものは、既存の市場を一切通さずベネズエラが石油を売れるかもしれないという可能性です。

暗号通貨であれば、完全にP2Pで決済できますので、経済制裁でアメリカの同盟国がベネズエラの銀行取引を中止しようが、少なくともトランザザクションを発行できます。

ベネズエラがどこまで考えてるかは定かではありませんが、暗号通貨はこのような可能性を提示しています。

先述したように、ベネズエラは、反米政権であり経済制裁を受けていますが、今回は銀行送金などと違い、制限ができない暗号通貨を、経済制裁の迂回に用いました。
こういったことを考えると、ペトロの取り組みはアメリカにとって非常に不都合で、アメリカでは、現在ベネズエラの発行するペトロの購入をやめるように呼びかける大統領令まで出ています。

ベネズエラの現地の様子、現地の暗号通貨事情

さて、ここまでは、多くの人が知るベネズエラの状況です。

その現地が一体どうなっているかという議論を研究所放送では行いました。

・ハイパーインフレ下の同国の治安は最悪で、食べ物も手に入らない状況
・石油が豊富な社会主義国家ゆえに、電気代はゼロでマイニングが出来る
・国民の多くがマイニング
・反米政権であり、同国ではアメリカドルの保有も禁止。自国通貨も信用できない→ドルも持てない→暗号通貨になる可能性??
・ペトロICOについて現地市民の理解
・ベネズエラで存在感を示しつつあるDASH

など、1時間では、全く話し足りなかった面白さで、相当面白かったです。

国家のお金が機能しない社会で新しいお金が塗り替わろうとし始めていることを、とてもリアルに感じました。(続きはこちらから)

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