ビジネス・投資

韓国や東南アジア発のプロジェクトに見られる「リバースICO」とは何か。そのメリット・デメリットや事例ごとの考察。

d10n Labでは、こじらせ東大女子(https://twitter.com/icotaku_utgirl)さんの寄稿によるリバースICOに関するレポートを配信しました。

本レポートは、韓国発のプロジェクトに多く見られ、韓国の大手ファンドHashedも積極的にサポートしている新形態のICO、”リバースICO”に関する分析記事です。

元々、スタートアップ創業や新規事業立ち上げのための資金調達手段として利用されてきたICOでしたが、最近では既存サービスをブロックチェーンに載せ、それを世界展開していくために資金調達を行うタイプのICO、”リバースICO”が、2018年に入りますます注目を浴びています。特に、ソウルに拠点を置く大手ブロックチェーン特化ファンドHashedのアクセレレータープログラム( https://www.hashed.com/portfolios/ )に採択されているリバースICOは、元々有名ベンチャーキャピタルからエクイティ投資を受け、既に一定の顧客基盤とサービス実績を持つ企業が主体となっており、有望なプロジェクトも多くなっています。

そこで本レポートでは、以下のような流れでリバースICOを様々な側面から分析していきます。

リバースICOの定義と”元祖”リバースICO

“リバースICO”、つまり「逆さ」ICOとは上述の通り、最近では既存のサービスをブロックチェーンに載せ、サービス内通貨をトークン化、そのトークンと引き換えに資金調達を行うタイプのICOを指します。
元々のICOが、スタートアップ創業や新規事業立ち上げのための低コストかつボーダレスな資金調達手段であったのに対し、リバースICO既存事業に対しにブロックチェーンを導入することで、サービスの分散化、仮想通貨の利用、そしてグローバル展開を推進する手段であることから、従来のICOと逆の手順を踏むという意味でリバースICOと呼ばれています。

なお、ICOの主にプライベートセールで調達した資金を使って企業の株式を取得し、トークン購入者に株式を取得させるという意味での”リバースICO”も存在するようです。この事例は、非公開会社が公開会社の株式を取得することで、通常の株式公開の手続きを踏まずに株式公開を行う手法を指す”リバースIPO(リバースtakeover、逆さICO)”に近いスキームです。

このレポートでは、既存事業に対するブロックチェーン導入・トークン化という、一つ目の意味でのリバースICOについて、分析を進めていきます。

繰り返しになりますが、リバースICOによってもたらされる大きな変化は以下二点に集約されます。

* サービスが(部分的に)分散化される
* 仮想通貨決済が可能になる

実はリバースICOが登場したのは決してつい最近のことではありません。
例えば、KikとindaHashは、2017年に資金調達を行った”元祖リバースICO”と言うべき存在でしょう。

Kikは1500万人ものMAU(月間アクティブユーザー)を誇るカナダ発のチャットアプリで、創業10年にして時価総額は10億円を超えるユニコーン企業です。
’17年9月にICOを行いましたが、当時はこれほどの実績ある企業によるICOは稀で大きな注目を集め、約100億円の調達に成功しました。

元々アプリ内通貨として使われていたKikポイントを仮想通貨Kinに移行し、そのトランスファー機能を組み込むのに加え、ユーザーがコンテンツ配信を通じてKinを獲得したり、ビジネス側がマーケティングのためにKinを使ったバウンティキャンペーンを行うといった、総合的なエコシステムの構築を目指しています。

indaHashはポーランドに拠点を置くインフルエンサーマーケティングプラットフォームで、世界70カ国に総勢30万人のインフルエンサーを抱え、ネスカフェ・サムスン・adidasなど1000を超える大手グローバル企業とキャンペーンを行った実績があります。

’17年11月のICOでは約47億円を調達し、仲介料の減額(企業からインフルエンサーへ支払われる報酬の増加)
・送金速度の改善を図るほか、VALUのようにインフルエンサーが自身のトークンを発行しそれを所有するファンに特典を提供する機能も追加される予定です。

このように2017年度に登場し注目を浴び始めたリバースICOでしたが、2018年に入ると韓国発の大手ブロックチェーンファンドHashedが、アクセレレータープログラムとしてリバースICOを直にサポートするようになりました。

以降ではHashedの概要とHashedが手掛ける三つのプロジェクトを紹介した上で、KikやindaHashのような初期のリバースICOと比べた時の特徴やそのメリット・デメリットを分析していきます。

韓国のクリプトファンドHashedがサポートするリバースICO

そもそもHashedは、2017年9月Alex Shin氏とSeojoon Kim氏により設立された、ソウルとサンフランシスコに拠点を置く世界有数のブロックチェーン特化型ファンドです。

Alex氏はGoogleやDocuSignの本社で法人営業を担当した後、いくつかのスタートアップのアドバイザーをつとめ、現在はHashedのCBOとしてサンフランシスコを中心に活躍しています。

一方Seojoon Kim氏は連続起業家兼エンジェル投資家として活動した後Hashedに参画、現在はそのCEO兼パートナーとして、ソウルを拠点に活躍しています。

出資先プロジェクトのアドバイザーとして名前を出しているのも、大抵はSeojoon氏です。
Alex氏がブロックチェーンスタートアップの聖地サンフランシスコを拠点に、現地のブロックチェーンスタートアップやファンド仲間との繋がりをつくりながら、Seojoon氏が地元韓国発プロジェクトのサポートを担当しているのではないかと予想されます。

ファンドとしてのシード・プライベートラウンド投資の他に、ソウルで一連のミートアップを開催したり(Hashed Lounge)、自ら出資するプロジェクトや業界リーダーのインタビューを紹介するメディアを運営したり(Hashed Post)、国内外で大規模なカンファレンスを主催したりするなど(Hashed Night)、業界で最も影響力を持つプレイヤーの一つとして精力的に活動しています。

Hashedのポートフォリオを見ると、国・地域もジャンル(プロトコル/Dapps/取引所)も非常に多様なプロジェクトに出資していることがわかります。

Blockchain Capital・Fenbushi Capital・FBG Capitalなど他の大手ブロックチェーンファンドと比べても出資プロジェクトの数は圧倒的に多く、海外インフルエンサーに取り上げられるような有力プロジェクトには必ずと言っていいほど出資しています。

d10n labで配信をしたレポート全文では、リバースICOに関して個別の事例について考察を深め、またリバースICOのメリットおよびデメリットを整理して、リバースICO全般としての課題にも触れていきます。

目次
リバースICOの定義と”元祖”リバースICO
HashedがサポートするリバースICO
1.Carry Protocol
2.Contents Protocol
3.Terra
考察
1.初期のリバースICOとの相違点
2. Hashed型リバースICOのメリットとデメリット
3. リバースICO全般の課題

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