Ethereum

ブロックチェーンで実現する分散型予測市場の可能性。Augurの仕組み、問題点、現状を理解する。

d10n Labでは、Augur についてのレポートを配信しました。

導入

本レポートでは、分散型予測市場、および分散型予測市場の代表的なプロトコルであるAugerについて概観します。

分散型予測市場とは、賭け、デリバティブなどにも利用できますが、本来的な目的はあくまで未来予測です。
群衆の叡智を利用して未来予測を効率的に行えるという考え方があります。
ジャーナリストのJames Surowiecki氏が2004年に出版した著書、「The Wisdom of Crowds(邦訳:みんなの意見は案外正しい)」にあるように、多様性のある群衆が未来予測を行うと予測の精度が高まるという理論です。

この予測市場をブロックチェーンで分散的に構築する取り組みがあります。
その代表的なものが、Augurです。
Augurは、2018年7月にメインネットがローンチしており、すでに稼働を開始しています。

Augurは賭け、ベッティングという側面も強いですが、大前提として予測市場であり、やはり未来予測を目的としています。
ConsenSysのEvan Van Nessは、Augurを「Uber for knowledge」と表現しています。
( 参照:https://www.evanvanness.com/post/130187978661/augur-uber-for-knowledge?fbclid=IwAR1-S6cF9ej0my4jhYiD_3lqsWcbTo6SipeXok5k91QPRVWz3f4R-ngsUc0 )
Augur以外のその他の事例として、GnosisやSTOXといったものもブロックチェーンを利用した予測市場のプロジェクトとして存在しますが、本レポートではこの分野で最もポピュラーなプロジェクトであるAugurについて概観をします。

Augurのような予測市場のアーキテクチャは、スポーツベッティング・保険・デリバティブなどの金融商品など多用なものに応用が可能であると期待されています。
本レポートでは、その可能性と、現在明らかになっている問題点、具体的な仕組み、アーキテクチャを概観することを目指します。

ブロックチェーン上で分散型予測市場が実現できると、どのようなメリットがあるか

予測市場という概念事態は、古くからあり、様々な予測市場がこれまで稼働してきました。
しかし、従来的な予測市場では、これを分散的に行う選択肢はなく、そのため様々な問題がありました。
以下のような問題です。

1.プラットフォーマーが力を持ち、なんのテーマで予測市場を作成するか自由化されていないため、その時点でバイアスが発生している


2.予測市場というテーマは様々な規制に当てはまりやすく、地域を飛び越えたり、クロスボーダーでの運用がしにくい(ある地域ではギャンブル、ある地域では金融商品として規制を受ける)


3.取引手数料が高い


4.未来予測の結果の報告に透明性がない可能性がある。結果の認定方法はプラットフォーマーが決める。

などが主な問題点とされます。

ブロックチェーン上で分散的な予測市場の構築は、この多くの解決を試みます。

1,分散型予測市場のプロトコルを使用すれば、誰もが好きなテーマで予測市場を作れる。


2.分散型予測市場のプロトコルはパーミッションレスで規制が難しく、グローバルからユーザーが参加しやすい。誰が作ったか分からない予測市場でも支払いは、スマートコントラクトで実行され、透明性がある。


3.取引手数料は各予測市場の作成者が決められます。予測市場の作成は簡単であり、自由競争により、従来の予測市場より取引手数料は安価になるはずである。


4.分散型予測市場のプロトコルでは未来予測に対しての結果報告は、プロトコルで決められたルールがあり、分散的な方法で結果報告が行われ、それはブロックチェーンで可視化され透明性がある。

おおよそ多くの分散型予測市場と呼ばれるブロックチェーンプロジェクトは、上記の課題を解決するために開発に取り組んでいます。
この具体的な代表プロジェクトとして、次章からAugurを解説しますが、この問題点や解決したい課題は大まかにはGnosisやStoxといったプロジェクトも認識に大差はありません。

分散型予測市場プロトコル、Augurの概要

Augur概要について解説していきます。

Webサイト:https://www.augur.net/
ホワイトペーパー:https://www.augur.net/whitepaper.pdf

Augurは、Joey Krug、Jeremy Gardner、Jack Petersonの3名によって2014年に共同創業されたプロジェクトです。
Ethereum上のプロジェクトでも、最初期から計画されていたプロジェクトの一つです。

2015年の夏にICOを行い、当時のレートで$5Mを調達しました。
その後、3年の開発期間を経て、2018年の7月にメインネットにローンチ、クリティカルなバグは起きずに執筆時点まで稼働しています。
同プロジェクトはすでに半年間の稼働をしていることから、今後、サードパーティーアプリの登場により、2019年に大きく伸びるEthereum上のプロトコルになるのではと、Ethereumコミュニティでは期待をする人も多いです。

創業当初は、Dyffyという親会社の傘下プロジェクトとして始まりましたが、その後、組織形態を変え、Forecast Foundationという非営利組織は、Augurというオープンソースのプロトコルにコミットをしているという形態をとっています。

Augurはあくまで分散的なプロトコルであり、Forecast Foundation自体は、プロトコルの中で強い決定権は持たないと、少なくとも彼ら自身は主張しています。
Augurのプロトコルでは、誰もが予測市場を作れます。
予測市場は様々なものが作れます。
金融商品(先物、デリバティブ)・災害・天気予報・政治・スポーツの結果などが可能であり、その他にも様々なものが工夫次第で作成可能です。

例えば、以下のような予測市場が可能です。

・2019年のETHの価格は500ドル以上か、そうではないか。(実質的なオプション取引)
・ワールドカップで優勝をするチームは、どこの国のチームか(実質的なスポーツベッティング)
・明日の天候は雪か、そうでないか(実質的な天気保険)
・次の大統領選挙で当選をするのは誰か(実質的な政治ブックメーカー)


など

未来予測、または予測市場と一言で言っても、様々な市場が形成できることが理解できると思います。
誰かが予測市場を作成すると、市場がクローズするまでの期間の間、全ての人が予測を購入、トレードすることができます。

予測市場のクロージングには、レポーターという存在により結果を報告してもらう必要があります。
レポーターは、未来予測の結果が明らかになる未来が来た際に、結果報告を行います。
レポーターは正しい報告をするためのインセンティブ設計(正しい報告をするとREPトークンを貰える)がされており、これがAugurの重要な機能となっています。

d10n Labで配信したレポート全文では、Augurについてさらに詳しい解説と、問題点や今後の期待などの考察を加えたレポートを配信しました。

目次
*導入
*ブロックチェーン上で分散型予測市場が実現できると、どのようなメリットがあるか

*分散型予測市場プロトコル、Augurの概要
*Augurでの予測市場作成と運用のサイクル
*作成できる予測市場の形式、種類
*予測市場作成者のためのインセンティブ設計(Crater Fee、 The validity bond、No-Show Bond の解説)
*マーケット作成後、予測市場ではどのようにトレードが行われるか
*レポーティング。現実世界の結果をブロックチェーン上に反映する方法
*レポーティングの内容に異議があった場合(dispute round)
*トレーダーが支払う手数料とはなにか(settlement fee)、またその受け取り手
*REPトークンの概要、REPトークンの設計の考察、価値表現方法
*Augurの現在の問題点と、それらはどのように解決されるべきか
*Augurと0xの2つのプロトコルを使ったVeilの登場。サードパーティー製のアプリケーションへの期待。
*ツール・リンク集
*総論

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