Ethereum

データで見るEthereum、プラットフォーム競争として捉えたとき彼らはなぜ優位性を得たか。

Ethreumは、現在、ビットコインに追随するパブリックプロトコルです。

本投稿では、データでEthereumを概観し、プラットフォーム競争の観点で、なぜEthereumが優位性を持つに至ったかを考察します。

データで見るEthereum

時価総額

https://bitinfocharts.com/

まずは、時価総額ですが、
・ビットコイン $113,956,098,174 USD、
・Ethereum $51,984,389,902 USD

Ethereumはビットコインの時価総額の約半分になります。(2018年6月14日)

トランザクション数

次にトランザクション数ですが、
2018年6月14日時点から過去24時間のもので、
ビットコイン(212,207)
Ethereum(759,181)

Ethereum約4倍の処理をしており、最も使われているブロックチェーンであると言えます。

稼働しているノードの数

次に、稼働しているノードの数です。


https://arewedecentralizedyet.com/

執筆時点(2018年6月14日)の時点で、
・Ethereumのノード(18266)
・ビットコインのノード(9933)
・ビットコインキャッシュのノード(1887)

最もノードの多いブロックチェーンであり、Ethereumのノードの数がいかに多いかがわかると思います。

ブロックチェーンのサイズ


http://bc.daniel.net.nz/

一方、ブロックチェーンのサイズは現在1TBを超えました。
このデータサイズが大きくなると、個人や小規模の開発者組織が、フルノードの運用が難しくなるという懸念があります。

しかし、プロダクトを運用するプロジェクトや、スタートアップのプレイヤーが多ければ、彼らは自身でフルノードを構築をする必要があるので、データサイズが大きかろうが、フルノードを構築し、それがEthereumのノードの数に反映をしていると言えます。
ノードの数は、ブロックチェーンをトランザクションを検証するプレイヤーの数とも言え、一般的にこれは多い方が良いです。

また、こちらのソースによると、Ethereumのデータサイズは、過去8ヶ月で700%の成長をしています。
成長速度が早いだけに、Plasmaなどのスケーリンスソリューションの実装が、より求められます。

開発者ツールのダウンロード数

下記は、Ethereumの開発者用フレームワークのTruffleのダウンロード数です。
Truffleは、Ethereumのアプリケーションのフロントエンド開発、MainNet Deployを一気通貫でできるフレームワークであり、Consensysが提供しています。

57万というダウンロード数は非常にインパクトがあります。
このダウンロード数の推移の伸びは、以下のようになり、開発者の数の圧倒的な多さを伺えます。

他のブロックチェーンと比較をしたトークンの数

また、2018年3月時点の数字ですが、Coinmarketcapによると、主要なトークン既存の580種類のトークンのうち、475種類がイーサリアムブロックチェーン上に存在するという高いネットワーク効果を構築しています。

プラットフォーム競争として捉えたとき、Etheruemはなぜ優位性を得たか

ここでは、Ethereumをプラットフォームと捉え、なぜEthereumがプラットフォーム競争で優位にたったかを考えたいと思います。

Ethereumは、ビットコインと比べると、VitalikやVladなど数名の開発者やEthereum財団の影響力が、コミュニティ内で大きい側面がありました。
これは今も変わりません。

過去には、The DAOで資金がコントラクトアドレスにロックをされてしまったとき、Ethreumをハードフォークして、巻き戻したこともあり、これはVitalikなどの主要開発者を進めたもので、結果、Ethereum Classicが生まれたものの、多くの人が結局のところ主要開発者をフォローしました。

そのような側面からEthereumというブロックチェーンは、ビットコインと比べ、主要開発者の力が強く、分散化されていないという批判的な意見が国内外で常にありました。
この批判に関しても、現在も散見するものです。

ですが、その後、2017年上半期より始まったICOバブルを経て、Ethereum上のトークンは増加、ICOを通じてETHも買われ、Ethereum全体の時価総額も大きく上昇しました。
価格が上昇すれば、マイニング参入者が増え、ハッシュレートが上がり、それはセキュリティに直結します。
また、そのICOをバブルを経て、ほとんどはろくでもないプロジェクトとして終わりそうですが、バブルの中から有用なアプリケーションがデリバーされそうな兆しもあります。
結果、現在、ビットコインに追随しそうなパブリックプロトコルとして成長しました。

トークンを発行できるパブリックブロックチェーンはEthereumのローンチと同時期にも他にも、NXTやNEM、Wavesなど存在しました。
時間軸として大きな先行優位性があったことはありません。

開発者環境を整えたことで得た優位性

それでは、Ethereumは、なぜ優位性を得たのでしょうか。
優秀なリードデベロッパーが存在していたことは間違いありませんが、それ以外に大きく2つに分解できると思っています。

一つは、開発者環境を整えたことです。

Ethereumは早い段階で、コントラクトを開発するための高級言語 (下記で紹介) が開発し、また、そも他の開発者環境を、主に複数の元Ethereum共同創業者たちが多く作り上げました。
開発者様フレームワークのTruffleをリリースしているConsenyや、Ethereumの主要クライアントを出しているParityなどがそうです。

なお、このストーリーは下記の書籍に詳しく、その他にも事例が豊富で有用な書籍でお勧めです。

Ethereumは、投機マネーをどのように吸収したか

二つ目に、Ethereumがプラットフォーム競争として、なぜ優位性を得たかを分解すると、投機マネーをうまく吸収したことだと思います。

Ethereumプラットフォームが成長したことは、良くも悪くも上手く投機マネーを得てきた要因が大きいと分析しています。

例えば、Ethereumコミュニティで大きな影響力を持つ企業であるConsensys傘下のプロジェクトは、これまで複数回ICOを行なっています
Consensysは、多数のオープンソースプロジェクトを抱えていて、Ethereumコミュニティ全体に非常に重要度の高い役割を果たしていることは確かですが、Consensysの企業としてのマネタイズの一部は、必要以上の資金を吸収したICOであるという批判的な見方もできます。
しかし、そういった資金があったからこそ、Metamaskなどのそれ自体ではマネタイズが困難なオープンソースプロジェクトをリリースできているとも言えます。

なお、Consensysに関しては、過去にこちらでレポートを配信しています。

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Consensys以外の他の事例を示します。

2018年2月に、Ethereum上のプロジェクトや事業を育てるという目的の「Ethereum community fund(ECF)」が立ち上がりました。
同ファンドに参画するのはOmiseGo、Cosmos、Golem、Maker、Raidenといったプロジェクトで、1号ファンドは、1億ドル(約110億円)という規模になっています。

ECFの目的は、Ethereumのスケーリングや、コミュニティ全体の必要なオープンソースプロジェクトへの支援をしていく目的です。
そういったプロジェクトに100億円以上の資金が用意されていることは、Ethereumにとって非常に良いことです。

しかし、同ファンドに出資をしている各プロジェクトの資金の出所はICOです。
もともと彼ら自身のプロジェクトが、なにかしらのアプリケーションを作るために、世界中でパブリックセールをして、個人投資家から集めた資金です。
言葉を選ばず書くと、Dapps一つ作るのに、数十億円や100億円も必要ないのにも関わらず、バブルに乗じて調達をしたと言えます。
それを彼らは、ECFに再投資している形になります。

このようにEtheruemというパブリックプロトコルは、投機資金をこれ以上になくうまく利用をしてそのプロトコルを成長させたと言えます。

「Ethereumは次のApple」という表現

プラットフォーム競争として捉えると、Ethereumが開発者環境を整備したことや、投機マネーに対する振る舞いは圧倒的に正しかったと言えます。

過去に、Appleがiphoneをヒットをさせたあとに、googleがAndroidを市場に投入し、当時アプリストア厳しく管理していたiphoneを開発しやすい環境を整備し、追随したことを思い出すことが出来、共通点は多いです。
最近、Appleの共同設立者のスティーブ・ウォズニアック氏はウィーンで開催されたカンファレンス、WeAreDevelopersにてイーサリアムのプラットフォームとAppleを比較し、今後イーサリアムの影響力が強まるだろうと述べ、「Ethereumは、次のAppleになる可能性がある。」と発言をしました。

「次のApple」は中々良い表現と感じており、要は、Ethereumは、Appstoreみたいなものだと思います。
そのようなプラットフォームとして捉えています。

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しかし、2015年や2016年に、そのような視点でEthereumを捉えていた人は少なかったと思います。
特にビットコインの特性と強みを理解している人ほど、過去に、Ethereumの集権的な側面やThe DAOのときのハードフォークを批判してきました。
今の批判の対象はPoS移行、Casperの実装です。

しかし、今はもはやそういったEthereumの側面は批判されるべきものではない、という表現は正しいかわかりませんが、自分は気にしないことにしました。
PoSの移行にしても、技術的にもガバナンス的にも、非常に難易度の高い挑戦になりますが、もはやEthereumに至っては、個人的には、駄目だったらハードフォークしてやり直せば良いのではないかという気もしてしまいます。

Ethereumのプロトコルは、未だ未完成であり、集権化と揶揄される体制も最適解なのだと思います。

僕は、Ethreumをそのコンセプト時点から認知しており、ずっとウォッチしてきたにも関わらず、例えば2016年時点で、今のEtherumの状況は予想できませんでした。
想定をはるかに超えた成長だと言えます。

2016年に、Union Square VenturesのJoel Monegro氏がFat Protocolsという記事を書いたことは、よく見抜いていたと感心できます。

http://www.usv.com/blog/fat-protocols

このブログ記事は、自分が予想をできなかった点を反省の意味で整理をするポストでした。
最近はこういった反省を活かして、今後の業界予想の仮説立てをしています。

本投稿は研究所サロンで配信をした記事を転載したものです。

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