ビットコイン

ペイメントとしての仮想通貨を考える。通貨としてのビットコインの論点整理、決済系プロジェクトや企業の分析まで

本レポートでは、暗号通貨のペイメントに焦点をあてます。

ビットコインをはじめとした暗号通貨が将来に決済で使われるのかどうかを再考します。

まず、はじめに広義に通貨としてのビットコインを考え直し、現在、ビットコインを決済に使用する場合のペインポイントを分解します。

その後、暗号通貨のペイメントプロセッサを提供する主要企業などを概観・分析していきます。
暗号通貨のペイメントに取り組むスタートアップも以前と比べ、業界図が変わりつつあります。
定期的に議論のネタになる「暗号通貨の決済」について、考え直す機会にしたいと思います。

決済としての暗号通貨のメリット・デメリットの整理

決済として暗号通貨、とりわけビットコインのデメリットを羅列するとこのようになります。

・ブロックタイムが10分である

・ネットワーク秒間7トランザクションしか処理が出来ない

・一度ブロックに取り込まれても、数ブロック程度であるとブロックチェーンが覆る可能性がある。(確率的ファイナリティ)

・価格が安定をせず、高いボラティリティ
・ネットワークが混雑をしたとき手数料が高騰する

・間違えたトランザクションをキャンセルできない

などが挙げられます。
このレポートを読んでいる人にとっては、それぞれを説明することは不要でしょう。

以上の点から
一方でビットコインが、決済の場面で解決できるものがあるかと考えると、以下のようなものになります。

・クロスボーダーですぐに決済が出来る
・インターネット上で投げ銭などに便利
・少額決済に比較的向いている。

といったところです。
今のところメリットのほうが限定的で、使われる場面も多くないということは、言うまでもありません。

通貨として見たときのビットコインの設計の欠陥

ビットコインが決済として使用されずらい大きな理由の一つにボラティリティがあります。

具体的には、今日100万円売った売り上げが一ヶ月後に80万円になっているなどのリスクは往々にあります。
この点について、「では将来ビットコインがさらに大きな流動性を持って、ユーザーが増えたらボラティリティは下がるのではないか?」という希望的観測を挙げる人もいますが、この答えは、恐らくノーです。

通貨としてビットコインを見た場合の設計欠陥は、供給スケジュールです。

ビットコインは、供給スケジュールが硬直的です。
10分に一度の間隔で新規のブロックが生成され、マイナーには報酬として、現在は12.5BTCが配分されます。

ビットコインの制度欠陥、特に貨幣としての欠陥は、この10分に1度必ずブロックが生成され、どんな状況でもビットコインが新しく供給され続けることです。

これに対し、中央銀行の発行する通貨では金融政策が行え、中央銀行は物価の調整が担うべき役割です。

つまり貨幣の価値が相対的に下がっていたら、貨幣の供給を絞り、物価がデフレであれば貨幣の価値が相対的に高くなっているので貨幣の供給を増やすという役割で、ビットコインはこのようになっていません。
ビットコインの価格がどうなっていようが、10分に所定の枚数のビットコインが供給され続けます。

また、ビットコインは、しばしばデジタルゴールドとも呼ばれ、ビットコインの設計思想はゴールドをモデリングされている部分があると同時に、供給スケジュールに関しては異なります。

ゴールドもビットコインも、それが新規で市場に供給されるには、採掘コストを要します。
鉱山を掘るには人件費も、掘削機への投資が必要になり、ビットコインはこの点をモデリングしています。
つまり、ゴールドが無から生まれることはなく、それを手に入れるには、何かしらの代償を払わなければいけません。

また、人類がこれまでに掘り出したゴールドの総量は14万~15万トン程度だといわれ、今後掘り出し得る金の地下埋蔵量は、6~7万トン程度(競技用オリンピックプール1杯分)といわれていて、
ビットコインの供給量が2100万枚で限定的な点に似ています。

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しかし、供給スケジュールについては、ゴールドであれば、金の市場価格が下がっていたときは、ゴールドの採掘の経済的コストが合わなくなり、ゴールドマイニング会社はマイニングを止めます。

そのとき、金は市場に供給されなくなり、需要が下がっているときに、供給が絞られるという現象が起きます。

しかし、ビットコインの場合は、価格が下がっているときでも、ブロックチェーンの台帳は更新され続け、それをビットコインの新規供給はされ続けます。
ビットコインはそのネットワークの維持に新規のコインの生成を結びつけた点は、非常に革新的でしたが、これを結びつけたことにより発生している通貨としての欠陥は、供給スケジュールの固定です。

こういった供給スケジュールを用いている限り、将来に機関投資家を含む多くの市場参加者に取引をされても、価格の安定は設計の時点から難しくなっていると言えます。

以上が、ビットコインを通貨として見たときの欠陥です。
このような指摘は、岩村充教授の論文、『Can we stabilize the Price of Cryptocurrency?』、また同氏の著書の『中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来』、が詳しいです。

このようなビットコインの特性も把握したうえで、d10n labで配信をしたレポート全文では、将来に暗号通貨が決済として利用をされるのかの検討、ペイメントプロセッサなど決済の文脈で暗号通貨に取り組む企業を概観・分析していきます。

目次

■決済としての暗号通貨のメリット・デメリットの整理
■通貨として見たときのビットコインの設計の欠陥

■Lightning Networkで決済が広まる可能性の検討
■ペイメントプロセッサ企業が果たす役割
■現状、ペイメントプロセッサを使用したビットコイン決済は世界的にどの程度使われているかのデータ
■暗号通貨のペイメントに関わる企業(1)BitPay
■暗号通貨のペイメントに関わる企業(2)coinbase
■暗号通貨のペイメントに関わる企業(3)Square
■暗号通貨のペイメントに関わる企業(4)PundiX
■暗号通貨のペイメントに関わる企業(5)Circle
■暗号通貨のペイメントに関わる企業(6)TenX・Wirexなど。VISAなどがデビットカード発行を許容できない理由について。
■ペイメントとしての暗号通貨、総論

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