技術解説

新興ブロックチェーン(EOS、Difinity等)の知っておくべき競争背景。なぜ今新しいパブリックプロトコルが勃興するのか。

本レポートでは、現在起きているパブリックプロトコルの競争を広く俯瞰することを目指します。
数回にわたり配信をする形になりますが、現在注目を集めるパブリックプロトコル、その背景までを網羅する決定版のレポートとして作り上げれればと思います。

導入

本レポートでは、新興パブリックプロトコルと、それを取り巻く環境を俯瞰します。

現在、EOSやDfinity、COSMOSなど比較的新しいパブリックプロトコルへ注目が集まっています。

数回を通して、何故これだけ新しいパブリックプロトコルが生まれているかの現状整理と解説を行います。

なぜ各ファンドはこぞってパブリックプロトコルに投資をするのかや、EVM互換のブロックチェーンがもたらすことの整理を行なったあとで、EOS・Dfinity・COSMOS・Zillica・Thunder Core・Ontology・Tezosの特に注目度が高い7つのパブリックプロトコルについて解説を行います。
それぞれのパブリックプロトコルについて詳しい説明は、本レポートひとつのみでは不可能ですが、それぞれ最低限知っておくべき内容は網羅できるはずです。
また、これらはいずれもコンセンサスアルゴリズムは、PoS系にあたりますが、改めてPoSについて再考もできればと思います。
現時点のこれらの競争を広く俯瞰するレポートとして網羅性のある決定版のレポートとして作り上げれればと思います。

前提背景。何故今、新しいパブリックプロトコルに注目が集まるのか。

まず、これらのパブリックプロトコルが躍進をする背景として、EthereumのCasperの仕様が固めることが遅れているなどの背景がひとつとしてあります。

Ethereumのスマートコントラクトは、現時点では、様々なアプリが今後、拡大にあたりEthereumでのブロックチェーンでそのままオンチェーントランザクションを処理することは、キャパシティとして困難です。

またアプリ開発者がスマートコントラクトのコードをデプロイするにも高額feeが発生します。

これらを解決をするために、Ethereumでは、主に、段階的なPoSへの移行、サイドチェーンであるPlasma、トランザクションを並列処理をするShardingなどが模索されています。

ただし、Ethereumのスケーリングを解決するためのソリューションの実装はいずれも、まだ時間がかかりそうであるということが、現状でしょう。
実装という言葉を、UI/UXが作り込まれ、エンドユーザーがPlasmaを問題なく使用できる状態と定義をするならば、それは間違いなく今から少なく見積もっても、2年以上はかかるのではないかと思います。

というのも、ユーザーが自然にPlasmaチェーンにデポジットができ、意識することなく必要な時にメインチェーンにEXITができるようなインターフェースまで作り上げられるのは、今のテクニカルな議論の先にある話であり、Ethereumが様々なアプリに実際に使われるにはそれだけ時間を要することことは想像に難しくないでしょう。

コアのコンセンサスアルゴリズムの変更であるCasperも長い間に議論され、数ヶ月ごとに新しい形式が提案されていますが、仕様はまだ定まっていません。

仕様が定まったあとも、PoWからPoS以降に際して、マイナーの合意も必要で、これからのEthereumの実装は気の遠くなるような時間を要する可能性があります。

この時間軸の認識は、Ethereumの開発者たちが「スケーリングはあと少しで解決する」というような度々散見する発言を鵜呑みにするのではなく、現実を見るべきだと言えます。
そこで、Ethereumのスケーリングが時間がかかりそうということで、注目が集まっているのが、新しいパブリックプロトコルです。

何故、各ファンドはパブリックプロトコルに積極的に投資をするのか?

こういったパブリックプロトコルには、特に各クリプトファンドが積極投資をしています。

本研究所、d10n labでは、様々なファンドの投資先リストや投資戦略などを過去にレポートしてきました。

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ほとんど全てのファンドが、と言って差し支えないですが、彼らはなにかしらのパブリックプロトコルに投資をしています。

また、各ファンドがメディアのインタビューで、「関心がある投資領域は?」という質問が出る時は、同じくほとんど必ずと言っていいほど、「新しいパブリックプロトコル」と答えているのが、2017年末から執筆時点2018年9月現在までの状況として続いています。

パブリックプロトコルは、ブロックチェーンの世界では、最も基盤になるレイヤーのインフラであり、重要性は高いです。
ETHはICO時の価格は1ETHあたり40セントの価格で販売され、執筆時点で価格は下落をしたといえ、ICO価格と比較し、1000倍近い上昇をしています。

今後のETHの価格はわかりませんが、これほど短期間で上昇したアセットは金融史上ないでしょう。
ETHの価格は、Amazonの株式が20年以上かけて成長幅を2年で行ないました。

ここで一度、ファンドのポートフォリオマネージャーの立場にたち考えてみましょう。
仮に、500倍に価格上昇をするパブリックプロトコルへの投資を引き当てたとします。
もし、そのレベルの投資を引き当てることが出来たなら、100個の投資のなかで1つでもそれを当てていて、99個の投資が無価値になったとしても、全てに同じ金額を投資していたら、ポートフォリオ全体の期待値は5倍です。

数字は、説明を簡単にするため単純化していますが、ETHの価格実績はファンドマネージャーにそのような投資を実行させるのに、十分な経済合理性を与えています。

FAT PROTOCOLの重要性と、それを最大限に理解した企業

こういったETHの価格実績に加え、さらにFAT PROTOCOLという定説があります。

FAT PROTOCOLは、当時はUnion Square Venturesに在籍、現在はPlaceHolderでGPを務めるJoel Monegro氏が提唱した理論で、これはこの業界のコモンセンスになって久しいです。

彼が提唱したことは、ブロックチェーンの文脈においては、価値はプロトコルレイヤーに集中をするという論理です。

インターネットの世界では、共有プロトコル(TCP/IP、HTTP、SMTPetc)は、広く使われ、誰もが利用していて社会的価値は生み出している一方、その技術には金銭的価値はついておらず、そのプロトコルの上に乗るアプリケーションレイヤー(google、Amazon、Facebook etc)に価値が集約しています。

しかし、ブロックチェーンの世界では、プロトコル(BTCやETH)に先に価値がつき、この部分の価値がアプリケーションレイヤーよりはるかに大きくなることを説いています。

アプリケーション層の成功が、プロトコル層をより一層ドライブするため、プロトコルの時価総額はプロトコルの上に作られるアプリケーションの価値の合計よりも常に早く成長します。
さらに、プロトコル層の価値が上昇すると、アプリケーション層の競争を激化させるサイクルを、Joel Monegro氏は予想しています。

従来のインターネットの世界のwinner take allのアプリケーションレイヤーのみの構造が変化して、アプリケーション層ではなく、プロトコル層に深く関わる現在とは根本的に異なるビジネスモデルを持つまったく新しい企業が生まれるだろうとJoel Monegro氏は予想をして、このブログを締めくくっています。
このブログポストはあまりに有名で、業界の誰もが読んだものです。
原文はこちらにあり、これらは必ず読んでおくべきであると推奨しておきます。

Fat Protocols
http://www.usv.com/blog/fat-protocols

FAT PROTCOLという理論について、今のところ、僕の理解では、これに合理的な反論意見は確認したことがありません。

例えば、仮にEthereumのアプリの全ての時価総額が、ETH全体の時価総額を超えたとき、Ethereumのアプリの全ての時価総額より安価なコストでそれらを攻撃できてしまうため、それは成り立つのか考える必要があります。

金融商品(証券トークンなど)も同様で、パブリックブロックチェーンの上に金融商品が乗っかり、金融商品の時価総額が、パブリックブロックチェーンのネイティブトークンの時価総額を上回る場合、それらの取引をフロントランニングなどで妨害することも可能です。

この前提が覆るには、34%、または51%のトークンをステーキングしていてもネットワークを攻撃できない全く新しいタイプのブロックチェーンが必要になると考えていますが、そのようなブロックチェーンは現れず、現実的ではありません。

その点で、そういった点からも、やはりプロトコルの価値>アプリケーションの価値であるはずということが、僕の理解で、個人的にもFAT PROTCOLの理論は正しいと考えています。

Joel Monegro氏が予想した「プロトコル層に深く関わる現在とは根本的に異なるビジネスモデルを持つまったく新しい企業」は、今の所EthereumにおけるConSensysでしょう。

Ethereumに初期に共同創業者として関わったJoseph Lubinが、初期にETHを投資して得たリターンを原資にして、Ethereumのエコシステムの中で大きな影響力を持ちながら事業展開をする会社です。
ConSensysに関しては、過去にこちらのレポートを配信しました。

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パブリックプロトコルに積極投資をする各ファンドは、次のConSensysのようなポジションをとる企業にベットをするか、または、彼ら自身がConSensysのような存在になるためにベットをしていると言っても差し支えありません。

現在、次のConSensysの筆頭は、EOSにおけるBlock.oneであると言えるでしょう。

d10n labで配信をしたレポート全文では、さらに深く現在のパブリックプロトコルの競争、その妥当性の検証、各パブリックプロトコルについて知っておくべき基本概要を詳しく解説しています。

目次
*導入

*前提背景。新しいパブリックプロトコルになぜ注目が集まるのか。
*何故、各ファンドはパブリックプロトコルに積極的に投資をするのか?

*FAT PROTOCOLの重要性と、それを最大限に理解した企業
*PoS形式のブロックチェーンの前提知識
*多くの新興パブリックブロックチェーンが採用するBFT形式のPoSとは
*BFT形式のPoSで指摘される問題点と、それに対する解決策
*バーチャルマシンでの互換性を目指すブロックチェーンのトレンド
*PoS系のアルゴリズムに対する批判についてとそれに対する考察
*PoSに対する批判点で考え直すべき点
*最近のパブリックプロトコルの2パターンの戦略傾向
*PoS系のトークンディストリビューション戦略を考える
*EOSについて知っておくべき基本概要
*Zilliqaについて知っておくべき基本概要
*Dfinityについて知っておくべき基本概要
*COSMOSについて知っておくべき基本概要
*Ontologyについて知っておくべき基本概要
*Tezosについて知っておくべき基本概要
*Thunder Coreについて知っておくべき基本概要
*総論

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